法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『コープスパーティー Tortured Souls ― 暴虐された魂の呪叫 ― 』

学園祭を直前にした如月学園で、夜まで残っていた学生たち数人が怪談を楽しんでいた。しかし、仲間の結束をたかめるための「幸せのサチコさん」のおまじないをおこなったところ、大地震のような衝撃とともに校舎の風景が一変する。分断された学生たちや巻きこまれた者は脱出をはかるが……


前世紀に人気となった同人ゲームにはじまるホラーゲームシリーズを、全4話で2013年にOVA化。アスリードが制作を担当した。

瞳が大きいわりに頭身の高いキャラクターデザインで、安定してシャープな作画。B級ホラーのように少女の下着がそこかしこで見えるし、内臓をまきちらすスプラッター描写も多いが、アニメらしい質感に抑えていて状況ほど生々しく感じない。
どちらかといえば、誰を信じればいいのかわからないという、ゲームらしい五里霧中な状況こそ最も怖さを感じた。演出としては世界が変わったような時に画面全体がかたむく描写が印象的だが、原作ゲームの演出なのだろうか。


第1話は無料配信がはじまった当時に視聴したが、最も恐怖に直面する少女ふたりを佐藤利奈新井里美が演じて、それぞれ中性的だったり相手にはげしくスキンシップしたり、まるで『とある科学の超電磁砲』の御坂美琴白井黒子を二次創作でホラー化したような楽しさだった。一方の行動がホラーにしても愚かしすぎて物語の都合を感じたが、第2話以降を見つづけていくと理由がわかっていく。

また、このジャンルならば信頼できる位置づけになりそうなキャラクターがそうではなかったりと、犯人をめぐるどんでん返しもそこそこうまくいっている。学園ホラーで徹底的に後味の悪い結末も、それをドライな描写ですませたのも、なかなか挑戦的で良かった。
ただ、終盤になってエピソードごとの視点人物が手記を入手しては真相を知っていく構成は、ゲームらしい都合と単調さを感じた。複数の怨霊へアイテムを与える描写をひとりだけにして残りは省略したように、入手する手記の数やそれを読む描写は少なく整理するべきだろう。