法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「赤木メモ」をめぐって日本政府が「ヤカンの論理」をふりまわしていた

森友学園問題をごまかすため公文書が改竄された記録を、政府が認める方針になったと朝日新聞が報じていた。
赤木ファイル、国が存在認める方針 森友改ざん問題:朝日新聞デジタル
調査による発見のような形式すらとらない時点で噴飯ものだが、認めない時点では両立しない主張を都合よくおこなってきたことも指摘されている。

国はこれまで、訴訟では「(ファイルは)裁判の争いに関係せず、存否を回答する必要がない」と主張。国会でも、野党が開示を求めたのに対し「訴訟に影響を及ぼすおそれがある」との答弁を繰り返し、存否を明らかにしてこなかった。

この日本政府の主張は、ジグムント・フロイトの指摘した詭弁と同じ構造だ。
「永遠の嘘をついてくれ」――「美しい国」と「無法者」の華麗なデュエット 前編 - (元)登校拒否系

AはBから銅のヤカンを借りる。ところがAが借りたヤカンを返した時には、ヤカンには大きな穴が開いてしまっている。Bの非難に対して、Aは弁解する。

まず第一に、俺はBからヤカンを借りてない。第二に、Bからヤカンを渡された時には既に穴が開いていた。第三に、ヤカンは全く無傷の状態でBに返した。*2

この三つの弁解は、それぞれ別々に見れば、Bの非難に対する反論として妥当なものだ。問題は、これらの弁解がお互いに否定し合っているということだ。Aの三つの反論が同時に成り立つことはない。Aは自らが潔白である理由を列挙していくうちに、墓穴を掘っていくのだ。

そして上記エントリで詭弁を引用したtoled氏が指摘したように、注目するべきは墓穴を掘ったこと自体より、墓穴を掘ろうとも主張が押しとおされてしまうところにある。
事実として朝日新聞も一読して気づけるように詭弁をまとめつつ、記事内にその詭弁への批判はない。日本政府も、詭弁をつかった責任を追及されて窮地におちいったりはしていない。