法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

官房参与に泥棒の高橋洋一氏を任命したことは、菅義偉内閣の擁護者にとって致命的ではないだろうか

元外務省の評論家である宮家邦彦氏などとともに、6人の官房参与に選ばれたという。
内閣官房参与に宮家邦彦氏、高橋洋一氏ら 6人を任命:朝日新聞デジタル

加藤勝信官房長官は13日午前の記者会見で、宮家邦彦・立命館大客員教授高橋洋一・嘉悦大教授ら6人を内閣官房参与に任命したと発表した。

たとえば、BLM運動の犠牲者に前科があることをもって米国警察の正当性を主張する人々*1にとっては、高橋氏は射殺されてもしかたない人物だろう。犯罪に加担するよう環境による圧力を受ける社会階層ですらない。
もちろん私はそうは思わない。時計の盗難については起訴猶予処分となり*2、当時に教授をつとめていた東洋大学を解雇された。一応は罪をつぐなっているとみなすべきだろう。


しかし研究家としては、著作で盗用をおこなったあげく、その釈明においてゴーストライターへ責任に負わせたことが致命的なはずだった。
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髙橋洋一著書籍「中国GDPの大嘘」について | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン

講談社との一連の書簡のやり取り(計4回)、および、講談社との直接面談(2016年10月12日)を通じて示された講談社の説明は以下の通りです。
「著者である髙橋洋一氏が、中国経済についてはあまり明るくないということであったので、指摘された部分はみな、講談社のデータマンが連載記事を見て用意した。その際、データマンが引用元を明記することを怠った。したがって、この責任は著者ではなく、講談社にある。」

もちろん高橋氏にも基本的人権があり、どのような罪を犯したとしても守られるべきだが、なぜ研究者生命が絶たれていないのかは疑問に思うよ。

仮に盗用の責任がまったくなかったとして、執筆を丸投げするような研究者を信頼できるとは思えないし、政府が重用すべきだとは思えない。


また、菅義偉内閣による学術会議の任命拒否問題を擁護するため、なぜか業績を無視した天下りで教授になることを批判する人物がいる*3

しかし任命拒否された6人の学者を見れば、加藤陽子氏などは明らかに天下りなど関係なく、正面から一歩ずつ真面目に学問の道を進んだような人物だ。
対して経済学者の高橋氏は、郵政民営化などをおこなった天下り官僚として大学教授になった経済学者だ。盗用問題を考慮した上で研究者として重視できる能力があるとも残念ながら聞かない。
だとすれば菅義偉内閣は研究以外の基準で高橋氏を選んだのだろう。そしてそのような性格の内閣が学術会議の任命拒否問題を起こしたこともうかがえる。

*1:BLM運動へ賛同する自民党議員の松川るい氏のツイートを撤回させた批判に、そういう論調がたしかにあった。

これは自民党がそのような論調を一部であれ受けいれてしまったことも意味する。 [B! 自民党] 松川るい =自民党= on Twitter: "下記Twitterについて。殆どの警官の皆様は命懸けで市民を守っています。それにもかかわらず、軽率なコメントをしてしまったことを関係者の方々に心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。 https://t.co/jMd4AY5zDy"

*2:岩上安見氏によるインタビュー記事を見るかぎり、少なくとも本人も明確に冤罪を主張しているわけではないようだ。 iwj.co.jp

*3:以前に批判エントリを書いたこともあり、もともと信用すべき論者ではないと思っている。 hokke-ookami.hatenablog.com