読売新聞が「日韓政府が帰国チャーター機で協力」として報じていた。
日韓政府が帰国チャーター機で協力…日本人が韓国機利用、共同運航も : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン
元徴用工訴訟問題が進展しないという前書きから「自国民保護では共同歩調」*1と説明している。
しかし実際の記事内容を読むと、韓国政府が日本人を助けたような事例ばかりで、協力といえる例はひとつだけ。
3月31日にマダガスカルから出国した韓国政府手配のチャーター機に、日本人7人が搭乗した。フィリピンからも今月3日に邦人12人が、ケニアからは6日に邦人約50人が同じく出国した。カメルーンでは日韓が共同でチャーター機を手配し、邦人56人が帰国した。
読売新聞によると、自国民が少数しかいない地域へチャーター便を飛ばすのは採算面などで難しく、協力する利点はあるという。
それは事実なのだろうが、だからこそ逆に日本政府が見返りなく韓国人を助けた事例がないことに意味を見いださずにいられない。
ややくわしい東亜日報の記事を読むと、韓国政府のチャーター便には日本以外の多様な国の人々が便乗した例が紹介されている。
アフリカからの帰国チャーター機に日本人も搭乗 : 東亜日報
韓国政府は先月、マダガスカルから帰国する国民のためにチャーター機を手配した。先月31日に離陸した飛行機には、韓国人26人だけでなく日本人7人と米国、ドイツ、英国、オーストラリア、ノルウェー国籍者など計97人が搭乗した。
このチャーター便では韓国とは異なる国籍の搭乗者が比率として多かったわけだ。
また、他国政府のチャーター便に同乗させてもらって日本人が海外脱出したことには、イランイラク戦争でトルコ政府が日本人を助けた逸話も連想した。
その逸話が映画化された時、先に日本がトルコを助けた逸話を引いて*2、無償の善意を信じない物語にしてしまったことも、今回の読売新聞に通じる。
『海難1890』 - 法華狼の日記
トルコ以外の航空機で脱出した日本人が少数いたことも描写されなかった。それをかつて恩を着せたトルコだけが日本を助けたかのような物語にしては、日本こそが恩知らずと感じざるをえない。
さまざまな社会問題において、日本政府は外国人のみならず自国民にも冷淡な態度をよくとる。
その基準だけで世界をはかると、たいせつな何かを見落としてしまうのではないか。