法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』つづきをヨロシク/もしもボックスで昼ふかし!?

来週のクリスマス回の予告的に、EDが過去のクリスマス回を編集したバージョンに。


「つづきをヨロシク」は、手袋をつくる秘密道具が登場。それを着けていた人間の行動を手袋が半自動的にくりかえすことで、さまざまな作業をまかせられるわけだが……
後期原作を2005年リニューアル以来に初アニメ化。佐藤大脚本にもりたけしコンテというスタッフで、どちらも以前の参加回で感じたように、微妙な解釈違いが気になってしかたなかった。
まず、ガスに手を入れると手袋ができる描写からして、ガスが消えるといきなり分厚い手袋ができていることに違和感。原作を読んだ時、ゴムの樹液に足をひたして靴をつくる文化から発想した秘密道具だろうと思ったのに、まるで魔法でつくったような描写になっている。ここはガスをふきつけて皮膚表面で液状化させ、じっくり膜をつくっていくという描写であってほしかった。
作業の種類も原作から増やしたことで、長期間くりかえして問題ないかどうかが直感的にわかりづらくなっている。商品陳列を一種類だけつづけるのは開始してすぐ問題になるだろうし、ペンキを予定した範囲を超えて塗るのはいいとして作業が雑になっているのが不自然だ。


もしもボックスで昼ふかし!?」は、夜ふかしを好んで朝に起きられないのび太が、昼夜を逆転した世界を作りだす。しかしいざ昼に寝かしつけられると遊びたくなって……
大全集まで単行本未収録だった原作を2005年以来の初アニメ化。堂山卓見コンテで、ほんの少しだけ日常からずれた情景をていねいに見せていく。原作は意外と頁数が多く、ほとんど描写を変更せずに映像化できていた。
まず、のび太があっさり前言をひるがえして昼をひとりで楽しもうとする展開そのものは単調だが、誰もいない白昼の街をひとりさまよう場面にはスコシフシギな魅力がある。不安感をあおるパトカーが実はのび太をさがしていたという構成の妙もある。
そうして夜がふけて群衆があふれる街の情景も、TVアニメとしては比較的にきっちり描写できていて、前半とのコントラストが印象深い*1
夜と昼の概念が混沌化して元通りになる考えオチもふくめて、何の変哲もない風景の延長だからこそ、そのまま映像化して初めて魅力が生まれるエピソードだと思う。下手な味付けを加えずに、よくできていた。

*1:以前の堂山コンテ回でもTVアニメとしては珍しいモブのしっかりした描写に感心した。『ドラえもん』きもだめしめがね/いきものおりがみ - 法華狼の日記