法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season17』第7話 うさぎとかめ

杉下が道端で大きな亀を見つける。追いかけてダンボールハウスに入ると、そこには頭部から血を流して昏倒しているホームレスがいた……


杉下の初代相棒*1亀山薫を思い出すモチーフと話題になっていたが、実際に劇中で亀山時代を知っている一課の連中が言及する。甲斐亨と違って俳優の姿や名前が回想されることはないが、たまにこういうファンへのくすぐりっぽい描写が入る。
もっとも物語の本筋はまったく関係なく、ホームレスが水曜日だけ新聞を購入する謎から、ホームレスになった経緯、その背後にある政治問題までを1時間にまとめる。
曜日ごとの特集を目当てに購入していたという「日常の謎」的な真相から、歌壇に投稿するホームレス歌人というネタにつなげ、古典的なミステリトリックにつながっていく。歌会という文化から、ホームレスに身をやつす原因となった談合事件にもつなげる。


全体的にまとまっているし、古典的なところも嫌いではない。しかし、どうにも全体的に薄い。良くも悪くも古い2時間ドラマのプロットを1時間に圧縮して、飲みこみやすいようディテールを薄くした感じがした。
せめて解決編で杉下が情報を後出しせず、歌にこめられたトリックを視聴者が考えられるよう、すべての歌をあらかじめ画面にしっかり映して、解明の手がかりになる特徴にも先に言及するべきだったのでは。

*1:劇中設定では3代目相棒。シリーズ初期ではむしろ視点人物的なあつかいだった。