法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「お前がそう思うんならそうなんだろう」と「シャブ山シャブ子」の一人歩き

「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」とは、漫画『少女ファイト』1巻においてメガネの青年が語った言葉だ。

その1コマが相手の思いこみを責める画像として利用されているが、作者もツイートしているように、実際の作品のニュアンスとは異なっている。

細かいニュアンスは難しいが簡単に説明すると、自身を責める主人公に対して、自責することを重ねて責めないよう気をつかって指摘する台詞なのだ。


一方、「シャブ山シャブ子」とはドラマ『相棒』のseason17第4話に登場した薬物依存者。その演出の恐ろしさで話題となり、専門家が懸念する事態となった。
「シャブ山シャブ子」を信じてはいけない | プレジデントオンライン
しかしこれも、当時の感想エントリで補足したように、一般的な依存者とは位置づけられていない。薬漬けにした一般人をコントロールして殺人まで犯させる組織の恐ろしさを描いていた。
『相棒 season17』第4話 バクハン - 法華狼の日記

「シャブ山シャブ子」は一般的な依存症患者と違って、明らかにヤクザが作った特異なキャラクターだとドラマ内でも位置づけられているが、それはそれとして一人歩きしたキャラクターが偏見を生みだすという指摘は重要。
また、ドラマ内で「こんな患者は見たことありません。何か不自然です」みたいなコメントを知見のあるキャラクターがおこなえば、ドラマのリアリティも上がったと思う。

前例から考えても、こうしたキャラクターが一人歩きして誤ったイメージが形作られる懸念は理解できる。依存症の回復を支援する立場からの提言に、耳をかたむける価値はあるだろう。