法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第7話 さあやの迷い?本当にやりたいことって何?

野乃たちは、花屋を手伝う薬師寺の姿を見て、CMで活躍していた子役だったことに気づいた。そして同じCMで脇役だった子役の一条蘭世があらわれ、薬師寺にライバル宣言。
野乃と輝木はオーディションにいどむ薬師寺を応援する。しかし薬師寺は、演じているところを誰かに見られていると、考えすぎて失敗する性格になっていた……


アバンタイトルのあいさつが、ずっと初回からつづいていた野乃ではなく薬師寺に。OPの羽根が生える薬師寺の姿も、オーディションの練習で野乃たちが見た幻と明かされた。
作画監督は上野ケンで、いかにも芸能テーマらしいエピソードを、美麗かつ可愛い作画でいろどる。練習や本番の芝居作画も動きが細かい。特に、湖に入るために靴下をぬぐ描写が、布地に皺がよる様子などをフェティッシュにクローズアップしていて目を引いた。有名女優として活躍する薬師寺母も、止め絵ばかりでも充分に存在感がある。
敵のルールーが怪物をつくりだすバンク作画も華麗で、ステップを踏むように足元のスイッチを押す演出も楽しい。あやつる空飛ぶ円盤も、東映らしからぬメカ作画のディテール。
ただ、いかにも東映ベテランの志水淳児演出らしく、作画が悪くても成立するような演出がところどころで見られたのが、残念に感じられた。特に結末近くの、花から抱いているハリーへと拡大していくフレームが、いかにも撮影で平面の絵にカメラワークをつけているようで……


脚本は井上亜樹子。以前のシリーズには鐘弘亜樹名義で参加していたが、やはり噂されていたように井上敏樹の娘なのか。
とりあえず物語としてはオーソドックス。前回と同じく次回につづく引きで終わったり、ライバルが以前のシリーズを思わせる設定だったり*1、脚本家個人の作品として完結するよりも作品としての連続性をねらっているようなつくりだった。
ドラマのポイントは、一方的なライバル心を燃やす少女との争いではなく、薬師寺が自分の壁を乗りこえること。だから一条は天使としては受からずとも小悪魔として受かり、薬師寺は素晴らしい演技で周囲を驚かしつつもオーディションには落ちる。