法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』地球エレベーター/かたっぽ探知リード

今回はひさしぶりに前後ともアニメオリジナル。


「地球エレベーター」は、冬の寒さを逃れるためブラジル旅行へ行ったスネ夫を追いかけるため、地球に穴をあけて自由落下する秘密道具が登場。
物語としては単純で、到着地点のわずかなズレが問題になることのくりかえし。これはこれでアイデア一発の原作エピソードと似た雰囲気で嫌いではない。
なんといっても、理科的な知識を応用して地球の反対側へ移動する秘密道具の設定が楽しい。自由落下によりエレベーター内が無重力になる描写も、いかにも物理的な表現だ。出発地点の海抜の関係で空中に出口が来るというビジュアルも、意外性がありつつ説得的。あとはエレベーターに窓でもつけて、マントルなどを観察する場面もあれば最高だった。


「かたっぽ探知リード」は、なくしたり落としたりした物品をさがすため、そのペアとなる物品に命をふきこむ秘密道具が登場。
こちらも物語は単純で、さまざまな人のさがしものを手伝ってやるだけ。ジャイアンとも珍しく友好的で、特に暴力をふるわれることもなく次の展開にうつる。オチも後味がいい選択で終わる。ただ、見ながら同種の原作短編「ジャックとベティとジャニー」のように拾い主と落とし主の対立で終わるかと思っていたので、それに反したオチに原作読者として意外性を感じた。
魅力的なのは映像表現で、命をふきこまれた物品の動きがとにかくかわいらしい。指を足のように動かす手袋、尺取り虫のような靴下、軽快に走るヌイグルミ、どれも個性があってアニメーションとして映える。命がふきこまれた手描き作画の躍動感があるから、それが途切れる時のつらさもきわだつ。
絵コンテの金子伸吾はリニューアル後で初参加。作画監督の小野慎哉ともども、映像の力で印象的なエピソードをつくりだしてくれた。