法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』第10話 運命の幻影/第11話 正義/自由/平和

第10話は時間を停止させてきた超人、兵馬の物語。悪と認定した対象を処刑していく狂信的集団と、時間を守ろうとするタイムパトロールとの三つ巴が描かれる。
同一人物が違う時間軸で争うという、時間移動SFの古典的なパターン。過去と現在と未来で変わった思想が正面から衝突するという構図は、この作品全体の自己相似形。しかし兵馬の目指したタイムパラドックスの処理が観念的というか、あまり好みではなかった。ループ状態になるオチは嫌いではないが、それだけでは弱い。ただでさえ時間軸が複雑な作品なので、複雑な時間移動を描きづらいのはわかるが。
メカ作画監督金田伊功の流れをくんだスタジオZの佐藤千春だが、これまでもアニメーターの自由にさせていた作品なので、いつもよりカッチリした作画だと感じた。


第11話はアメリカ海軍の新型潜水艦の寄港をめぐり、内と外で歓迎と批判の歌がそれぞれうたわれる。そこに謎の超人「怪剣クロード」があらわれて潜水艦を破壊、その真相をあばく。
政治家の名前を三矢研究から引用したり、いつも以上にキナ臭い物語。しかし潜水艦の真相は静止画であっさり流して、主人公たちの興味は怪剣クロードに向かう。そのなかで、星野輝子が魔法少女ではなく魔女っ子だった意味も明かされる。
柴来人のアクションなど素晴らしかったし、解くべき謎が明確なので見ている間は楽しかったが、あくまで繋ぎ話。作品全体の大きな物語の一部分といったところ。
興味深いのは超人を部品にする潜水艦より、怪剣クロードの行為を映像として残酷に描いていたこと。復活を前提とした第9話は別として、この作品で正面からスプラッタ表現をしたのは初めてのような気がする。