今年初の放映は、前後ともに原作を大きくアレンジしたアニメ化。「どこでもドアかくれんぼ」は映画に合わせて舞台やキャラクターをアレンジ。
しかし、あいかわらず右肩のテロップがうっとうしい。
「街中ぐにゃぐにゃネンドロン」は、物品から生物まで粘土のように柔らかくなる秘密道具が登場。原作者の生前には藤子不二雄ランドに収録された、原作で時々ある狂ったエピソード。
原作の導入では、以前に別個の秘密道具「がんじょうぐすり」を使って力持ちのふりをした疑惑が追及されていた。そのような前日譚は存在せず、架空の後日談形式なわけだが、アニメオリジナルで前半エピソードをつくっても面白かったかも。対してアニメではスプーン曲げから導入して、独立した物語として展開している。
そして本編の魅力は、あらゆるものがメタモルフォーゼする楽しさにある。たっぷりの作画枚数を使って、身近な椅子から建造物、ペットから高層ビルまで、つぎつぎに形がゆがんでいく描写が楽しい。アニメーションの魅力の根本といえるだろう。後半からはアニメオリジナルの変形も多く、特に原作では一度だったドラえもん変形が連続する描写は爆笑もの。
ただ、今回の久保園誠作画監督は、過去の登板より絵柄の癖が目立ったのが残念だった。いい意味で癖が出ているというより、あまりに仕事量が多いため全体を制御できていないという印象が。
「寒い日は雪女になろう!」は、塗ることで妖怪に変身できる秘密道具「妖怪クリームセット」が登場。のび太は寒さに耐えるため雪女になったが、スキー場をつくるため能力を高めすぎて何もかも凍らせてしまう。
2014年の話題作をパロディしたかのようなエピソード。それそのものは登場しないが、『妖怪ウォッチ』や『アナと雪の女王』を思い出させる。しかし他作品との関係は露骨にすぎず、アニメとしては原作との連続性を強調する描写が印象的。特に、セット内に既存の秘密道具「おおかみ男クリーム」が入っているのがうまい。
周りのみんなが凍ってしまったため、のび太を救うため狼少女になったしずちゃんの可愛らしさも絶品。『名探偵ホームズ』のハドソン夫人くらいの適度なケモノ化。
もう少しオチのまとまりが良ければ、なお良かった。
