法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

nekoguruma氏の露骨な二枚舌をフォロワーは気にならないのだろうか

吉田清治証言に言及した過去エントリの誤りについて訂正と反省 - 法華狼の日記のコメント欄で言及した、吉田清治証言にまつわる論争が続いていた。

id:Apeman氏の上記ツイートから、[twitter:@nekoguruma]氏がやりとりしている。
たとえば吉見教授が吉田証言を否定したことを指摘され、国内に対してはどうだったのかと反駁する。

しかし、やりとりでApeman氏が指摘している1997年の朝日記事は特集という目立つものであった。同年に吉見教授が共著で出した『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』でも、吉田証言は否定的に言及されている。
そもそも政治が動くことが無かった吉田証言よりも、たとえば金学順証言を詳細につたえれば、より正確な問題の周知といえるだろう。


そもそもApeman氏が批判したツイートには発端となるやりとりがあった。その最初の、[twitter:@yuantianlaoshi]氏へのツイートを見ると、nekoguruma氏の不誠実さは明らかだ。

「知る限り皆無」と「知ってる」を自由自在に使いわける二枚舌は、吉見教授の主張の実際を知らなくてもnekoguruma氏の問題として理解できるはずだ。周囲は気にならないのだろうか。
むろん、yuantianlaoshi氏もnekoguruma氏へ反論していた。

反論に対してnekoguruma氏はTing2012氏をリツイートして、下記のようにツイートした。

とりあげたという2012年の記事は下記のものだろう。現在は冒頭しか見られないが、それだけで吉田証言の影響力が大きいとはいえないとわかる*1
조선인 위안부 '사냥'을 고백한 일본인 - 프리미엄조선

"慰安婦強制連行証拠がない"というノダ日本総理発言に憤慨した読者キム・ウォンテさんが所蔵した日本本を送ってきた。 吉田セイジという日本人が1972年に使った育成(肉声)手記であった。 吉田は下関で日帝の労働者徴発機構である労務報国会動員部長を3年余りの間過ごした。 彼は数多くの朝鮮人を強制連行して戦場に送ったし、その時の蛮行を参会(懺悔)しようと'朝鮮人慰安婦と日本人'という本を書いた。吉田の証言は現場を見るように細かくて具体的だ。

実際は読者から吉田手記を紹介されて信じて記事にしたという経過で、資料批判の甘さは指摘されてもしかたないが、現在の韓国内で吉田証言が知られていない傍証ともいえる。
また、「広義の強制」は「狭義の強制」の後に使われた言葉と考えられており、吉見教授が批判されるいわれはない。
「狭義の強制はなかった」に関して - kmiura - 従軍慰安婦問題を論じる

秦郁彦「諸君!」1992年9月号。引用「官憲の職権を発動した「慰安婦狩」ないし「ひとさらい」的連行(かりに狭義の強制連行とよぶことにする)を示唆する公式資料は見当たらないというのである。」

吉見『従軍慰安婦資料集』より引用「一般には、強制連行というと人狩りの場合しか想定しない日本人が多いが、これは狭義の強制連行であり、詐欺などを含む広義の強制連行の問題をも深刻に考えてしかるべき」

事実として「強制連行」という言葉には民間業者の詐欺などがふくまれており、本来なら吉見教授がわざわざ指摘することですらなかった。
実は吉田手記でも民間業者の詐欺を強制連行にふくめていた。
吉田清治『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』を読む - 法華狼の日記
言葉の広い意味については朝日検証でも指摘されている。
強制連行 自由を奪われた強制性あった:朝日新聞デジタル


そもそもnekoguruma氏は吉見教授の主張について、どこまで具体的に知っているのかどうか。
紹介したツイートのように日本軍の責任と批判する吉見教授を矮小化と批判しているのだが、nekoguruma氏本人は下記のようにもツイートしている。

しかし吉見教授は代表的な著作で公娼制度について検討した後、慰安所制度の問題として第一に軍隊による女性への人権侵害と明確に指摘している*2。吉見教授を「ヴァカ野郎」などと誹謗し、重視されていない証言ひとつにこだわるnekoguruma氏のような態度こそ、「シフト」をこばむものといえるだろう。
いや、1992年に日本国内で吉田証言が否定される以前から、国会で日本軍の関与の度合いが問題視されており、現場の強制を重視した金学順証言が大きく報じられていた。吉田証言の示す状況だけ従軍慰安婦問題であったことなど、一時期でもあったのだろうか。

*1:引用文はエキサイト翻訳を手直しせず用いた。

*2:従軍慰安婦』231頁。