法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』脱出! 恐怖の骨川ハウス/さとりヘルメット

アニメオリジナルの前半と、後期原作からアニメ化した後半と。


「脱出! 恐怖の骨川ハウス」は、身近な場所を秘密道具でアトラクション化するパターン。のび太の部屋に放置されていた「スリル満点の体感型ゲーム」をスネ夫の家で使って、必死に脱出しようとする苦闘を描く。
クイズに正答することで隠したい心情が暴露されてしまったり、罰でスネ夫の家の物品がひどいことになっていく。まるで1990年代に一世を風靡した『ビートたけしお笑いウルトラクイズ』のような、罰ゲーム番組に近い。
そのためか、脱出が目的なのに「どこでもドア」の存在を誰も気づかなかったり、明らかな穴が多くて物語に入りにくかった。クイズを答えて錠を開けていくだけ、というゲーム展開も単調で、作戦や伏線のはいりこむ余地がない。


「さとりヘルメット」は、30m以内にいる人の心が読めるヘルメットが登場。のび太ジャイアンから逃げるため使用したのだが、気をぬいた一瞬に奪われてしまう。暴力と読心でジャイアンは無敵状態に……
ヘルメットという物理的に取り外せる秘密道具だからこその展開。原作以上にドラえもん側も作戦をしっかり立てているからこそ、なかなかジャイアンを攻略できない危機が映える。
原作は読者の想像にたくしたオチが印象深かった。それに対してアニメでは、原作オチ以降の展開を描いたが、単に想像の余地をつぶしたわけではなく、ひとひねりを加えてくれた。アニメ独自の面白さがあり、これはこれで悪くない。
善総一郎監督がコンテを切っているためだろうか。前半で描かれた好物ネタを拾ったり、作画も全体的に良かったり、細部にも神経がいきとどいていた。満足。