志田直俊コンテ。作画リソースを投入することを前提としたコンテで、ぐりぐりとアクションを動かす。もちろん原画としても参加し、なめらかで特長的なフォルムのエフェクトを見せてくれた*1。くわえて、闇に飲み込まれたプリキュアを、過去の志田コンテではあまり見ない、じっくりとした間で見せてくれた。
最終決戦に入りながら今一つだった作画も、リソースを大いに投入。上野ケン作画監督を持ってくるだけに終わらず、舘直樹が原画として参加するサプライズもあった。飛び散るエフェクトを塊や平面ではなく実線で描いて、動きだけでそれらしくカットがあったので*2、先端的なアニメーターが参加したのかもしれないと見ながら思っていたが。
『プリキュア』シリーズの過去作品では、最終形態が登場しながら絵の弱いことも何度かあったので、特別な力を発揮する今回に力を入れたのも、悪い判断ではないだろう。
物語は、作画の迫力と演出の呼吸だけで押し切った感はあった。終盤に入っていきなり主人公がラスボスに問いをつきつけられ、悩みだすという展開。古い子供向けアニメでよくみたパターン。
今回だけ単独で見れば悪くはないが、ラスボス側に1年間をかけた重みがない。ひるがえって、プリキュア側が出した結論も、独自性を感じにくい。
映像に力があったので、引っかかりのない展開ゆえに楽しめはしたのだが……もっと絵本や童話をそれらしくモチーフにした背景をピエーロに期待していた。最終回を残しているので、まだ何かあるかもしれないが。
