法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』チャンスメーカー/しあわせは歩いていこう!

アニメオリジナルな前半と、ほぼ原作通りの後半と。


Aパートは清水東脚本。色々な課題へチャレンジし、成功すれば要求した物品や状況が得られるが、失敗すれば難題が増えたり相応の物品を没収される。
やたらキャラクターの課題制覇能力が高かったり、ひたすら事態が乱高下した末に投げっぱなしで終わったり、あまり好みの内容ではなかった。もっと伏線や構成で楽しませてくれたなら、投げっぱなしでも評価できるのだが、単に思いつきを並べただけに見える。
良かったのは、最終的な風景の奇妙さくらい。


Bパートは、歩くだけで気分が高揚する「ハッピープロムナード」という秘密道具が登場。今なら『スマイルプリキュア!』の主人公が常時使用していそうな道具だ。
反対方向から歩くとアンハッピーな気分になるという、感覚的に納得はできるが実装されている意味がわからない機能によって、悲喜劇が拡大していく。
機械的に感情を操作する道具が平気で使われる、いかにも藤子F作品らしいファンタジーな表層にブラックな深淵を隠したコメディを、うまくアニメに落とし込んでいた。細かな展開は異なるが、おおむね原作で提示されていた構成の妙は踏まえられている。
ただ、キャラクターの心情描写が記号的であるがゆえに、原作は一種のメタ漫画としても読めた。今回のアニメでは、そこまでの踏み込みは感じられない。