法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『TIGER & BUNNY』#25 Eternal Immortality.(永久不滅)

前々回の展開はヒーローの出番を形ばかり優先して敵の行動がゆがみ、前回でも払拭されなかったが、最終回でようやくいくつか納得できる描写があった。前回までの印象があまり良くなかった分だけ最終回の印象が上向いたところは、1クール目終盤と通じている。くわしくは全体のまとめ感想で書くつもり。


まず、もっとも大きな引っかかりだった、NEXT差別主義者がNEXTのマーヴェリックに協力していた意味と、マーヴェリック側の心理は、短いなりに処理された。
主人公2人がかりで1人を犠牲にして倒せた敵が量産されて襲ってくる脅威は、3DCGと手描き作画を活用した映像で華々しく見せ、きちんと全員が狭い場所で戦っている乱戦らしさが演出され、それでいて状況がわかりにくいということもなかった。その逆転劇も、この作品が初期で見せたような少しのひねりを入れて、なおかつ初回で示したTVショー内のヒーローという根幹設定を活かしており、見たいものを見せてくれた。
街を象徴する巨大肖像が戦闘によって崩壊していく様子や、暗がりで虎徹ゆらりと立ち上がる場面をカメラ視点で映した演出なども印象に残る。


一方で、虎徹の復活劇は伏線を入れる余地もあっただろうに釈然としないところがあり、後日談もあわただしすぎる見せ方に終わった。最後の虎徹の姿を見せようとして、NEXT能力減退のドラマを引きのばしたことはわかった。しかし、だとするとバーナビーが協力してくる展開が早すぎて、見せ場を食ってしまっている。
もしシリーズを続けるために延長したのだとするなら、逆に最終回の内容をひきのばせばよかった。たとえば前々回を圧縮して前回のAパートを入れこみ、今回のAパートを前回のBパートにしてヒーローの絶望ぶりを強調すれば、虎徹が復活できた経緯の説明や活躍に時間を使えただろうし、後日談も余裕ある描写になっただろう。
魅力的なキャラクターをそろえてオーソドックスで平易な物語を展開しながら、使いきれていないところが魅力であり欠点である、そういう作品として終わった。少し残念。