法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『TIGER & BUNNY』#18 Ignorance is bliss.(知らぬが仏)

クリームがジェイクに心酔していたのは、能力者として差別されていた背景にくわえて、誘拐の加害者と被害者という関係もあった。
しかし誘拐したのは短時間だし、当時のジェイクも記憶が美化されているなりの矜持は感じられるし、ストックホルム症候群と呼ぶほどではないかな。ボニー&クライドよろしく、2人で暴れまわっていた時代をスピンアウト作品として見たい気もする。


偽記憶ということがほぼ確定したバーナビーの幻視だが、刺青があったことではなくて、無かったことが手がかりになる伏線は悪くないのだが、アニメで見せるのは難しいところも感じた。単純ミスで描き忘れたり、ロングショットで省略することは珍しくないので、伏線かどうか視聴者からは判断しにくいのだ。
また、複数あらわれた人物の中にマーべリックがいたことで、逆に怪しくなくなった。もし記憶操作をした犯人なら、設定しだいでどうとでも解釈できるものの、感覚として自分自身の記憶は入念に消しただろうと思うし。


物語は濃厚だったが、ヒーローらしいアクションはなく、映像の動きは抑え目。よどみなく進行するカット割り*1、多様な表情をつけた作画芝居*2で興味を持たせようとした回だった。
演出チーフの森邦宏*3が佐々木忍と連名で初コンテを切っていたところに注目すべきか。

*1:特にクリームの回想が、特に短い簡単なカットで状況説明をすませつつ無駄なキャラクターを排していて、テンポ良く楽しめた。

*2:作画監督は門智昭。

*3:ちなみに、監督をつとめていた『SDガンダム三国伝 Brave Battle Warriors』において共同監督していた鈴木健一は、『TIGER & BUNNY』の3DCGアドバイザー。