法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』四角いドラえもん/ガキ大将に一票を!

今回はABパートともにアニメオリジナル。ピッポの絵描き歌コーナーでは今年度映画の寺本幸代監督が登場。


Aパートは、善聡一郎監督がコンテ。前回に登板した楠葉総監督に続いて、珍しいメインスタッフ登板回。
をがわいちろを作画監督で、心もちキャラクターの目が離れていて、絵柄に現代的なアニメキャラクターのニュアンスが入っている。しずちゃんが可愛かった。
物語は、外見も内面も四角四面になる秘密道具を飲んだ*1ドラえもんが、決まりごとを全てに優先するようになってしまうというもの。スケジュールを無理やりに守らせる秘密道具は原作にも複数あるが、ドラえもん自身がデザインも言動も全て変化してしまう映像は衝撃が激しく、独自性は高い。

秘密道具の効果にあらがって、川に流された動物を助けて感動的に終わるかと思えば、そこからしばらく変化をくりかえして二重人格的な絵面が楽しめた。オリジナル秘密道具を内容にいかしきるところで好印象。
ただ一点、眼鏡や皿やドラ焼きが丸いことに文句をつけ、秘密道具で四角くしてみせたくらいなのだから、ドラえもんがスケジュール表に書いた数字もデジタル時計のような直線的文字であってほしかったかな。


Bパートは、独自の選挙を行う秘密道具「選挙ケン」が登場する。原作にある秘密道具「税金鳥」を連想させる、直球の子供向け風刺物語。そしてドラえもん達はガキ大将の座をジャイアンと争い、子供社会全体を巻き込んでいく。
当初は弱い者の味方として善意で立ち上がったのび太達が、勝利を最優先するために賄賂合戦を受けてたってしまい、最終的に子供達から選挙への意欲すら消しさってしまったところが皮肉でよかった。やはり選択肢が2つしかないのは困るよね。
ただ、オチ自体は納得がいったものの、当選した本人が立候補をしていないことには疑問もある。普通に考えたら無効票になりそうだ。中盤で「選挙ケン」は半壊させられたのだから、その関係で誤動作したとかの説明があるか、あるいは選挙戦を評した台詞が立候補として扱われたという真相があっても良かったかもしれない。

*1:リニューアル当初は飲用するタイプの秘密道具がほとんど自主規制されていたが、原作でも印象的だった飲用する秘密道具ウソ800等のアニメ化をへて、完全に規制解除されたようだ。