今回は前半がアニメオリジナル、後半が原作通り。映像面では小野慎哉と小西富洋が作画監督で、それぞれ良い仕事をしていた。
「恋する!?変身ビスケット」は、バレンタインデーでドラえもんのところに来ていたはずのミイちゃんが消えてしまう。どうやら秘密道具で変身してしまったらしいが……
さまざまな動物に変身する秘密道具をもってきたのは映画宣伝をかねてだろうか。ミイちゃんがカエルに変身してしまい、さらにネズミへ姿を変えて会話ができなくなってても愛しようと努力するドラえもんのけなげさと、ある意味ですごくラブコメっぽい真相が良かった。以前にもアニメオリジナルパートで似たような展開があり、その因縁の相手だったりしたらどうだろうと想像するのも楽しい*1。
ただ、のび太がしずちゃんの飼っている文鳥を安心させようとして鶏に変身するのは謎。違う種類の鳥を見て安心するものだろうか？ ここで鶏に変身しても体のサイズが変わらず、言葉もしゃべれるところは伏線だが、普通に巨大文鳥に変身すれば良かったのでは。
「することレンズ」は、相手がしようとしていることを予測する秘密道具が登場。それで危機を回避していくと、街角で犯罪の実行を考えている男に出会う……
すでに似たような機能がある秘密道具ふたつの合わせ技で構成された原作エピソード。そのため既視感はあるのだが、後期原作らしく構成が洗練されていて、くりかえし失敗する犯罪がむかえる顛末がよくできている。なかなか後味も悪くなく、原作から好きなエピソードだった。
印象的なアニメオリジナル要素は、のび太とドラえもんも鎮火作業に参加しているところ。原作だと消火をしようとしてすぐ消火後のコマに移るので違和感ないが、そのような時間の飛躍によるごまかしがアニメでは難しい。表現媒体にあわせた、地味にていねいなアレンジだと思う。
