法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

ホメオパシーの治療方法って、病原体を水で限りなく希釈した「レメディ」を与えることが基本なのだが

そういえば、「水中毒」*1のレメディってどうやって作るんだろう?と思ったことがある。


さて、と学会がホメオパシーを言及していた例が見つかったので、資料として紹介しておく。収録されているのは『トンデモ本の世界R』で、批判対象は由井寅子ホメオパシー in Japan』、そして執筆者は唐沢俊一氏。
唐沢氏は「裏モノ」ライターであってデバンカーとしての執筆は少ないのだが*2、ハヤカワ文庫で『薬局通』という医療関係の雑学本を出していたこともあり、さほど不自然な登板でもない。
記述の大半はマーチン・ガードナー『奇妙な論理』からホメオパシーについて書かれた内容を紹介するもので、そのおかげか適切なホメオパシー批判記述が多い。『奇妙な論理』が書かれた時点で古いとされていたホメオパシーが日本で広がりつつあるという観点から、時代性を越えてはびこっているという展開に繋げているあたりは今より仕事がていねいといえるだろう*3
そして途中で代替医療の可能性を多めに見積もったりと怪しい部分もありつつ、最終的に由井氏らの“治療”がホメオパシーですらないのではという批判を行っている*4

イラストの解説には、この症状が“嫉妬心が強くセックス好き。自己顕示欲が強い。ヘビ女と化している”と書かれているが、これは神話や伝説の中のヘビのイメージで、実際のヘビは決して嫉妬心や自己顕示欲が強いわけではないし、ましてヘビに噛まれたからといってこういう性格になるわけでもない。この治療の、どこが同種療法なのか?

嫉妬心が強く、宗教上のからみもあって困っている人に対し、上記のような関連性からヘビ毒を用いたレメディが与えられたという。唐沢氏は他にも、心理的な症状に対して無理やりな関連づけでレメディが作られている例が複数あると指摘する。
……となると、水中毒に対しても感覚的な理由で自由自在にレメディが作れるということか。無駄に万能だな、ホメオパシー

*1:http://blackshadow.seesaa.net/article/26894160.html

*2:ちなみに、後に起こされた様々な事件で、山本弘会長や皆神龍太郎氏と他会員に少しばかり温度差が見られたのは、と学会においてもデバンカーとしての執筆が多かった会長らと、あくまでトンデモ物件を笑って楽しむ会員との差異があったのでは、と個人的に感じている。http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20090810/1249923815

*3:資料をほぼ1冊にたより、後はインターネットをちょっと調べただけという点は、後の事件にいたる芽という感じもするが。

*4:151〜152頁。太字強調は原文ママ。ちなみに今回の唐沢文に対し、http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-260.htmlで先に批判的な紹介がされており、ほぼ妥当だと思うが、この引用部分に関しては、やや突っ込みが行きすぎている。「つまり、ホメオパシーならいいのかって聞いてみたい気が。」といっても、あくまで唐沢氏は由井氏らの用いる代替医療が自身の提唱する論理にすら従っていないという批判にすぎないと読むべきではないか。