法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『侍戦隊シンケンジャー』第四十五幕 影武者

ほぼ前回で明らかになっていたことだが、これまでの主人公シンケンレッドは影武者であり、別に本物のシンケンレッドが存在したという急展開。
今シリーズでは、レッドが他のシンケンジャーと身分差がある設定がされており、どのように話を転がしていくのかシリーズ序盤に注目していた。しかし徐々に普通の仲間らしくなって、中盤で侍ではないキャラクターが入って変化をつけたものの、少し期待していた方向とは違うと思っていた。だが、ここ終盤に来て序盤の身分差描写を回収しつつ、自然に新展開へ突入してくれた。
影武者という真相が明かされただけで、幼少期の殿が父から願いをたくされる場面の深みが増す。殿が放浪に出ても、侍ではないキャラクターが幼なじみとして関わってきて、加えて戦いにしか興味がない敵がからんできて、今回までに登場した多くのキャラクターが無駄なく機能する。封印の文字という即座に戦いを終わらせられる要素がありながら、その会得に全力を注がなかった御都合主義も、敵側の台詞にもあるように影武者設定で説明がつくのも地味に巧かった。
あと、本物のシンケンレッドである姫が健やかな性格で、相応の能力を身につけていることもいい。新たな主人への反発で話を進めず、純粋に殿の不在という物語が心に突き刺さる。