法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『弁護士・森江春策の裁判員法廷』容疑者5人全員に殺人動機あり!!真犯人は誰だ!?女検事と壮絶バトル…逆転のサシスセソ

芦辺拓裁判員法廷』*1の一編を土曜ワイド劇場で2時間ドラマ化。
多少は覚悟していたが、視聴意欲が折れそうなほどの安っぽさに唖然とした。ひょっとして2時間ドラマの平均から見ても安っぽい出来なんじゃないか。


原作は二人称という特異な文体を選択し、シリーズ探偵を背景に置くことで裁判員を主役にしていた。しかしこのドラマは森江弁護士と菊園検事の対決に主軸を移し、代わりとなる工夫がない。裁判員制度を題材にした意味が皆無。
しかも、よりによって最も映像化が難しい『自白』を使うのだから、どう処理するか……と思えば難しい部分は全て削除。単純なトリックだけを取り出して、いかにも2時間ドラマな伏線を付け加える。これなら作中映画が物語の鍵となる『審理』をドラマにすれば良かったろうに。


そして主演は中村梅雀。いくら森江弁護士は冴えないキャラクターといっても、せいぜい現代版の金田一といった程度の若者で、そこそこの顔立ちと感じられる公式イラストすらある。主人公が性転換したり若返ったりする映像化は少なくないが、これは……いや俳優としては素晴らしいと思うが。
しかも助手の女性もオバサンで、何を考えているかと思ったら、最後に原作読者へ中途半端なサービス。……何も無いよりはいいけどさ。