法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

そして話はふりだしにもどった

ちくわ氏が私の日記全般に対して興味深い主張をしていた。
http://www.tikuwa.com/sc/2008/11.html*1

 左巻きラクですからね。何せ左巻きは勢力が少ないので、少々おかしな事を云っても周囲のシンパが守ってくれますし(笑)、そういう事を続けているうちに、自分の主観こそが絶対であるという固定観念を持ち、それを絶対に譲らなくなると共に、“相手の主観を理解しようとせず、自分のそれを他人に押し付けようとする”、“外交政策において、中国や韓国の肩を持つ”、“自分の言葉を持たず、他人の言葉を然も自分が考えたかのように話す”という論調になっていくのも左巻き一つの特徴です。
 左巻きの人は、世の論調に逆らっている自分が凄く大好きな人たちなんです。

ことごとく、ちくわ氏にこそ当てはまるように思えるのは気のせいではないだろう。
私は、弁護士の立場を理解しようとせず懲戒請求騒動を起こした人々を批判し、左派として中国や韓国の政治を嫌ってきた歴史があり*2、専門家への敬意を求め自分だけの言葉など重視しなかった。
現実には、好意的なコメントを選んで日記で引用しているのも*3光市母子殺害事件弁護団の心情を拒絶したのも*4、どこでも述べられているような主張を自分の言葉と称したのも、全てちくわ氏自身だ。
ちなみに、私は左派にあたるだろうと自覚しているが、左巻きを自認したことはない。作家の京極夏彦と同程度には左巻きだと思うが*5

 彼のアニメ感想の作品チョイスを見ていると、萌え&燃えオタは見ていない、あるいは見ていても特に感想を書かない類の当たり障りにないアニメばかり見ているのに気付くと思いますが、これは外からの批判を避けるためでしょう。昨今、アニオタは気に食わない批評があるとそこに乗り込んで炎上させるような頭の痛いのも少なくないですから、下手な批評を書くと要らぬしっぺ返しを食いますからね。

 反面、一般書籍の書評などはその性質上、他人の書評に突っ込むような痛い人も居ませんから、安心です。好きなように書けます。
 これがラノベとかだと、やっぱり大変な事になりますが(笑)。

ガンダム』や『コードギアス』など、痛いアニオタが良く見る類のアニメ感想に関しては、殆どの場合、現実の戦争と結びつけて批評しているのに注目してください。
 そうする事で、ミリタリー系のネタを知らないただのアニオタからの痛いツッコミが入る事を避けているワケです。上手いですね。

いろいろと本気かどうか疑ってしまう陰謀論だ。批判されない作品を選んで感想を書くなどという発想がどこから生まれたのだろうか。
まず、「世の論調に逆らっている」と思いながら、同時に「外からの批判を避ける」と思っていることが不思議。完全な矛盾とまではいわないが、かなり奇妙な考えだ。
実際には、一般書籍に関して間違ったことを書けば、かなり厳しい批判が来るものだろう。何しろフィクションではなく、現実の問題や実在する人物にも波及しかねないのだから。現実の戦争や政治と結びつけた感想*6も同様。手間がかかるわりに、時事問題の解釈で間違いがあれば、やはり厳しく批判される。それどころか虚構と現実を結びつけること自体を嫌悪されることもある。
そもそも、日記を検索してみれば、いわゆる萌えアニメライトノベルにも時々言及していることくらいわかるだろうに。

 しかし、素の彼の評がちょっと普通の萌え&燃えオタとズレているのは、『コードギアス』最終回の批評に顕著ですね。
 あのアニメを見て、あの作品が“ゼロという虚像の英雄を作る物語”と論じたオタは、恐らく世界中探してもきっと彼だけだと思います(笑)。
 いやまあ、それはそれで、個性的な感想でいいと思うんですけど、彼は『コードギアス』『最終回』『感想』辺りのキーワードでググってみて、他の人がどんな風に最終回を見たのかを、きちんと確認すべきだとオレなんかは思うワケですよ。

非個性的な感想を書けば「当たり障りにない」、個性的な感想を書けば「ズレている」。ちくわ氏は書きながら疑問を感じなかったのだろうか。
他人の感想を確認していないという想像自体も、外からの批判を避けるため当たり障りにないアニメばかり見ているという想像と矛盾している。勝手に憶測しておきながら、その憶測自体が相互に矛盾しているのだ。


結局、ちくわ氏は根拠すらない賛同者の多寡や、矛盾している想像をもって、自論の妥当性を主張したいらしい。自論の内容からは目を背けて。
ここで、話はふりだしへ戻る。ちくわ氏に初めて言及した文章の最後だ。
もちろん誰だって他人から馬鹿にされたくない - 法華狼の日記

啓蒙的な態度を見せれば「上から目線」等と拒否されてしまうのだから難しい。

この時、まさに、批判の内容から形式へ話がすりかえられてしまう反応を懸念していた。
結局、ちくわ氏の反応は当初から懸念した範囲にとどまるものでしかなかった。それどころか一方の当事者である原告団広報Wikiより、誰が書いているかもわからないWikipediaを情報源として信頼する始末*7。いろいろな意味で残念なことだった。

*1:成年向けイラストサイト注意。11月8日の記述。

*2:中国と国交を回復しODAを行ったのは自民党政権であり、韓国は長らく反共軍事独裁政権だった。

*3:私はコメント欄の文章を日記で引用することは滅多になく、好意的なコメントに対してのみ返答しているわけではない。もともとコメント量の多い日記ではないので、守ってくれるなどと期待するはずがない。

*4:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081010/1223675402http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081013/1223942425

*5:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20070906/1189032069で少し言及した笑い話。

*6:「批評」と自称するのは、おこがましい気分がある。

*7:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081013/1223942425