法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ザ・ベストハウス123』から、日本アニメの超お宝作品ベスト3

ザ・ベストハウス123』は、様々なジャンルや視点から番組なりのベスト3を選出するバラエティ。
今回は日本アニメの創成期を伝える作品を中尾彬が紹介し、番組の最優秀プレゼンも取った。


本題に入る前に。
ジャパニメーション」という煽り文句を多用していたのは、見ていて気恥ずかしかったが、個人的には慣れてきた気分もあった。
10年以上前『マクロスプラス』の宣伝文句として使われていた時は、必ずしも海外で良い意味を持っていないことや、さほど浸透していないことが判っており、相当に恥ずかしかった。しかし今となると、一般的な報道に浸透したおかげで枯れた和製英語と化した感もある。
もはや、海外で実際に使われている呼称というより、海外で日本アニメが受け入れられているという情報の枕詞と考えるべきなのだろう。


さて、選出されたのはカラーアニメとモノクロアニメ、そしてフィルムに直接彩色したらしい小品。
大藤信郎*1『くじら』は以前から独特の映像美がある傑作として知られ、断片的にでも映像が見られただけで嬉しかった。カラーセロファンを重ねた柔らかな光と影が美しく、アニメート技術そのものも素晴らしい。いわゆるフルアニメーションらしい滑らかさだが、ディズニーのように誇張されすぎた動きではない。加えて、海の作画は現在のアニメ技術でも難しいが、多数のセロファンを切り抜いて交換して大藤が動かした大波は、映像表現として見事に再構築された物。自然でありながら幻想的な、独特の映像世界があった。
幸内純一『なまくら刀』*2は滑稽な内容。フィルム発見時に大筋の内容は報道されていたが、細かい描写は初めて知った。転げた侍の足から下駄が飛んでいく演出は、番組でも注目されたように気がきいている。キャラクターデザインも線がよく整理されており、好みの造型だ*3。ちなみに正確には日本最初の劇場アニメではなく、文献で内容を確認できる最古の作品だったらしい。
最後に紹介された日本最初のアニメは、作者もタイトルも不祥。発見時の報道で、フィルムで連続したコマを見られたため、内容や絵柄は既知。しかし当時の映写機を用いたりして、実際に動く姿が見られたのは嬉しかった。存外に動きも自然で、一ヶ所だけ着色された帽子の赤が印象的。

*1:名を冠したアニメ賞で有名。

*2:劇場公開時は『塙凹内名刀之巻』と改題された。

*3:どこかで似た絵柄を見た記憶があったのだが、講談社ブルーバックスで挿絵を書いていた永美ハルオ氏だった。風刺マンガ家としての絵柄が通じたのか。