TBS系正午のワイドショー『ピンポン』に、コメンテーターとして宮崎哲也とともに唐沢俊一が登場。路面電車事故に合わせ、脱車社会の話などをしたり顔でしたり。
ともかく、山口母子殺害事件の裁判について、宮崎氏がよく見る論調で弁護団を批難したのに対し、バランスを取るように唐沢氏がネットに噴き上がっている被告憎悪を批判し、復讐を否定する法治国家の意味を説いていた。番組全体のバランスを考えて発言の立ち位置を決める唐沢氏らしい行動だが、脅迫等を絶対に行わないよう宮崎氏と共にいさめる姿は感心しないでもなかった。
漫棚通信の一件*1がなければネット批判を邪推せずにすんだだろうにと思えるのが惜しい。
さて、宮崎哲也は一審二審で弁護側が行わなかった主張を急に出したことを問題にしていたが、これはよくある誤解。一審や二審で行った主張しか許されないのであれば、三審制そのものに意味がないということになりかねない。弁護士が代わったのに、全く同じ主張を期待するのも不思議な話だ。何より安田弁護士は捜査資料に矛盾があることを指摘し、容疑者が持つ権利がきちんと行使されていなかったことも主張している。この場合、新しく判明したことにそって弁護を行わなければ、それこそ弁護士としての職務をまっとうしていないことになる。
被疑者の自白や事件の真相と称されるものは、おうおうにして検察の作文にすぎないとよくいわれる。冤罪についての本を読むと、裁判が速やかに終わって刑が軽くなると警察や検察や弁護士が被疑者をそそのかし、誤った自白を行わせる事例をよく見る。今回の事件は冤罪でこそないだろうと思うが*2、事件の様相が一審や二審で描かれたものと異なる可能性が高くなってきた。たとえ被害者遺族が速やかな審判を欲するとしても、より真相に近づくことを思えば我慢できないだろうか。
検察の脚本通りに被告が三文芝居することが被害者遺族の気持ちを救うというのでは、実に救われない。遺族は棒読みの謝罪を求めているわけではないはずだ*3。