法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『聖闘士星矢Ω』第 64 話 破れ鉄壁の門!天馬の矛と龍の盾!

大塚健コンテで、原画にもクレジット。演出は第1期でSDをつとめた畑野森生。
やや止め絵は多めだが、第2期に入ってから最も作画に力があったように思う。必殺技の激しい攻防もまずまず。矛盾の故事を引いてから展開される逆転の理屈も、いかにも車田理論らしくて良かった。

『ドキドキ!プリキュア』第25話 華麗な変身!ニューヒロイン登場!?

高橋ナツコ脚本回。いやはや次回予告で想像したとおりにひどかった。
キュアセバスチャンの能力はバットマンのように仮装しているだけかと思えば、実際に変身できる上に、殴打で地面にクレーターをあけるほど強力。四葉財閥のウェイン産業ばりの強大さに震える。
キュアマダムも出落ちかと思えば、一時的ながらマッチポンプで大活躍。展開の関係から戦闘も複数あり、娯楽回としての密度は高かった。


ただ逆にいえば、予想外の展開とまではいかなかった。とりちがえからコメディを始める手法は昔から何度も使われていて、どこか新しいアイデアをつけくわえないと安易に見えてしまう。赤フンドシで滝に打たれている修行と組み合わせたのは悪くないが、もう一押しほしい。
あと、今回で『バットマン』を想起させる描写が出ただけに、四葉財閥が映画『ダークナイト』と同じような町内監視システムを活用していたことには、やはり最終回までにフォローがほしくなった。

『宇宙戦艦ヤマト2199』第16話 未来への選択

前回の戦闘で大きな損傷を受けたヤマト。居住可能な惑星を発見し、補給調査のために古代やアナライザーが艦を離れる。さらに沖田艦長が過労で倒れ、指導層が一時的に空白となる。
その間隙をぬうように、長期航海で鬱積した不満と、これまで後景的に描かれていた地球脱出計画派の策謀で、艦内に反乱が発生する。


惑星ビーメラでの調査行は、このシリーズでは珍しい人型メカと巨大昆虫の格闘戦や、まったく異なる風景が描かれて、異星を冒険する古典的な楽しみがあった。
ヤマト艦内の出来事については、規律を維持するはずの立場が積極的に反乱を起こすという物語のお約束は嫌いではない。しかし、これまで作品上でイズモ計画をめぐるドラマが書かれていなかったため、反乱したキャラクターの心情によりそいにくい。ヤマトが強大な敵に敗北したことと合わせて、旧作で薄かった反乱動機の補完という意味があることはわかるが、せっかくなら動機そのものも掘りさげる物語にしてほしかった。たとえば前後編くらいの尺を使って、地球脱出計画を推進した側の正義をじっくり描いて、主人公に葛藤させるくらいのこともできたはず。


あと、新規OPについては、どのような主題歌でもどこかから文句が出たと思うので、決定権のない関係者には同情する。同じUVERWorldでも『地球へ…』第1期OPのように日本語歌詞であれば、違和感が軽減されたろうと思うが*1。第1話全体とともに無料で視聴できる。
地球へ… | バンダイチャンネル|初回おためし無料のアニメ配信サービス
ただ、もし西崎義展PDが存命だったら、案外と2期主題歌を許したような気がする。OVA『YAMATO2520』や映画『復活編』を見ると、イケイケな若者がブイブイいわす描写をけっこう好んでいたと思うので。

*1:そういえば同じ放送枠で、同じ結城信輝キャラクターデザインで、出渕監督も参加し、地球へ回帰することを目的とした物語という根幹も通じている。

『有頂天家族』第三話 薬師坊の奥座敷

現代京都を舞台としてテングとタヌキがばかしあう物語。これまでは身近な空間に異形の存在がはいりこむシチュエーションコメディが基本だったが、今回は過去回想と異空間でスペクタクルな光景が描かれる。


カリスマの尊称で知られるアニメーター井上俊之が、杉光登と共同で作画監督。原画にもクレジット。主人公の父親ダヌキが巨大な山一つに変化するシークエンスと、異空間の水没した時計台まわりで裸女がクジラとたわむれるクライマックスが、特に目を引いた。
コンテは吉原正行監督で、P.A.WORKSと関係が深い許螬が演出を担当。たぶん吉原監督が『攻殻機動隊SAC』で演出していたつながりから、井上俊之が参加することになったのだと思う。