法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

石川優実氏が名誉棄損されたという判決が確定したとのこと

「はるかちゃん」から私に対する名誉毀損が認められました。 | 石川優実 [Yumi Ishikawa] Official Site

私は、乞食行為をしていないことを書面で証明し、それが認められたということです。実際に被告はるかちゃんが「乞食だ」と主張していた私の行為は、きちんとお金と引き換えに対価を渡しているものでした。(クラファンのリターンなど)

「ネット乞食」というネット用語があるとか、多数の閲覧があったわけではないとか、そんな言い訳は裁判所では通用しなかったというのはとても大事なことです。

 引用されている名誉棄損ツイートを見ると。「乞食して金を得て」と書かれていて、「ネット乞食」とは書かれていない。意味が軽い言葉が存在したとしても、あまり関係がなさそうだ。
 それに、「ネット乞食」はAmazonの「ほしいものリスト」やいわゆる「投げ銭」に対する揶揄であって*1、リターンがあるクラウドファンディングやイラスト作成にはつかわれない印象がある。


 はてなブックマークを見ると石川氏の勝訴を肯定するコメントも、今後の表現の萎縮を考えるコメントもあるが*2、名誉棄損と真実かどうかは関係ないというコメントが複数あることが気になった。
[B! 司法] 「はるかちゃん」から私に対する名誉毀損が認められました。 | 石川優実 [Yumi Ishikawa] Official Site

id:tacticsogresuki 実際のところ、乞食である事の真否で判決が下ったのではなく、他者を乞食だとレッテル貼りした事が問題かと。しつこく他者を壺認定しているような方々も裁判なら名誉毀損になるだろう。壺=統一教会故に。

id:preciar 名誉毀損は、内容が事実であるかどうかは原則として問われませんので、この記事内容は的外れかなと思います

id:sucelie 名誉毀損は言われたことが事実かどうかは問題ではないからなぁ

 すでにid:nao_cw2氏やid:oka_mailer氏が指摘しているように、もちろん名誉棄損裁判でも真実性は争点になる。
 石川氏が引用している判決を見れば、「乞食」という表現が「真実」や「事実」であったとは「認められない」ことが明記されている。赤線の位置が下すぎるので少し読みづらいが。

判決文の該当箇所。

 たしかに、事実であっても情報を提示する社会的な意義がなければ名誉棄損になることがあるし、逆に事実でなくても事実と信じてもしかたがないだけの根拠がある*3ならば名誉棄損にならないことがある。
 それはつまり、できるだけ真実にもとづいて必要な批判をおこなうべきということだ。文脈を無視して表現だけで名誉棄損の線引きがされるなどと考えるべきではない。

*1:もちろん、その場合の揶揄であれば必ず正当になるというわけではない。

*2:逆に、id:afterkun氏のように「この騒動を初期から見ているが、大元は仁義に欠けた引用が元だからなあ。」と石川氏の表現を委縮させたいかのようなコメントもある。もちろん実際には引用に「仁義」は必要ないし、妥当な引用であったことは別の裁判で認められている。

*3:これを「真実相当性」と呼ぶ。