法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』裏山のドラえもん城/『真実の旗印』はつねに正しい

アニメオリジナルの前半と、ほぼ原作通りの後半と。


「裏山のドラえもん城」は、秘密道具「飛び出す建物シリーズ 日本のお城」で裏山に城を建てたところ、ジャイアンスネ夫に奪われてしまい、それを取りもどそうと奮闘する。
原作の「スネ夫の無敵砲台」に近い展開だが、こちらは敵も味方もレトロな罠と道具で知恵比べする。いつものように秘密道具を整理していたことから始まったことで、便利な秘密道具を持っていないことを自然と納得させてくれた。忍者らしく水中にひそむ展開もうまい。オチも松永久秀を知っていると楽しい。
しかし、残念ながら城のディテールに甘さが目立ち、映像としては良くない。石垣が平面的だし垂直すぎる。何より、いくつかの場面で矢狭間や鉄砲狭間が逆になっていたのは間違い。城壁にあけている長方形の穴だが、あれは内側から狙いをつけるため動きやすく、外から攻撃しにくいようになっていなければならない。
↓こんな風に狭間から鉄砲を撃ったりする*1

しかし忍者となったドラえもん達を察知しようとして「鴬張りの廊下」*2が出てきたりと、物語レベルでは歴史物らしいディテールがしっかりしている。おそらく背景美術を設定しているスタッフが、きちんと資料をそろえられなかったか、資料の解釈が甘かったかの、どちらかだろう。


「『真実の旗印』はつねに正しい」は、どのような主張でも受けいれさせ従わせられる秘密道具が登場。前半と武士ネタという繋がりだろうか。
筋の通った詭弁で納得させる「腹話術ロボット」と違い、屁理屈すらない主張で納得させられるのが「真実の旗印」。普段なら自縄自縛におちいったりして失敗するところ、最後までつっきってしまう展開が楽しさを生んでいる。ゴリ押しというより宗教的な権威の域といった感じ。これがアニメ化されると、あたかも独裁者が崇拝されているかのように狂った光景となり、なかなかシュールな不条理劇といった感じで恐ろしくも楽しい。
ただひとつ原作と違うところとして、道具が手持ちサイズではなく、本当の旗印くらいのサイズに改編されていた。その設定を反映して、道具を失ってしまうオチが、ちょっとひねった展開になっているところが新鮮だった。