法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ルパン三世 生きていた魔術師』

天球の水晶をねらって、ルパンと謎の敵が戦う。その敵の正体は全身を燃やされ倒されたはずの強敵、パイカルだった……


TVシリーズ1作目の後日談を描いた2002年の中編OVA。傑作とされながらも新作では無視されつづけたハードボイルドな初代TVアニメが、初めて設定面で新作で反映された。

ちなみに半年後に放映された同年のTVSP『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト [DVD]』も、1作目の登場回でしか見られない石川五ェ門の凶悪なふるまいを回想として描いている。


監督は同時期までサンライズで活躍していた演出家の浜津守
ビスタサイズとスタンダードサイズが混在していたり、別パターンを用意したエンディングなど、DVDという新たな媒体で実験をしたい意図はつたわってきたのだが……
シリーズ1作目のハードボイルドでドライな雰囲気は消え去っている。銭形はろくすっぽ活躍しない。アクションがつまらなく、3DCGが浮いている。ゴエモンの対峙する序盤など、微妙なカメラワークをつける良いCG演出もいくつかあるが。
実写を意欲的にとりこんだり、背景美術はなかなか良いが、それもふくめて当時らしいダメなTVSPを見ているようだった。さすがに作画は安定はしているし、TVSPの半分ほどしかないので中だるみをあまり感じない良さはあったが。