法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』 不思議な街

番組冒頭のミニ映像コーナーは、樹木を大切にして切ることなく建物をつくってしまうベトナムや、治安の回復をねらってカラフルで明るく住宅を塗装したメキシコなど。基本的には地域的な文化風習で、ひとつひとつが興味深い風景だった。
しかし中国のソウ・バイリンという男性がつくりあげた巨大庭園は、シュヴァルの理想宮を思わせるアウトサイダーアート。テレビ朝日系列の『ナニコレ珍百景』を見ていると、日本でも同じような見ごたえあるアウトサイダーアートが各地にあるものだが。
あとレバノンで観光目的でブルマナ市長が婦警の制服をショートパンツにしたのは、いろいろな意味でアウトだと思ったし、番組でも批判の声があると紹介されていた。国民の過半数イスラム教徒の国でそれをやれたのは、興味深いねじれだとも思ったが。


さらに本編に入っても、中国の少数民族のさまざまな風習を紹介。長角ミャオ族では水牛のような髪型を女性がしていたり、花腰タイ族では結婚した女性の服装に黒が増えていったり。
なかでもサラール族が川をわたるための羊の皮を浮き袋にしたイカダは、ファンタジー作品などに応用が効きそうな興味深い文化だった。四足が角のようになっているものの、光沢のある滑らかな茶色いゴム風船のようで、説明されないと動物の皮だとはわからない。空気を抜けば軽くて、持ち運びにも便利だという。


米国アラバマ州にあるフィル・キャンベルという小さな町は、1993年に同名の青年がたずねてきて、他にも同名の人間から手紙などを送られていることを知り、同名の人間を募集してパーティーを開いた。見ていてシャーロックホームズの『赤毛連盟』や『三人ガリデブ』を思い出した。
そして2011年4月、くしくも町の生誕百周年イベントが予定されていた年を竜巻がおそい、町は甚大な被害をこうむって26人がなくなった。その町を救うために先述の青年が同名の人間を集めて復興を手助けし、イベントの開催にこぎつけた。直前の東日本大震災とかぶる光景だったこともあり、印象深かった。
ただ、集まったフィル・キャンベルはオーストラリアからも来るくらい多様なのに白人ばかりで黒人が見あたらなかったことや、そもそも米国の町の生誕祭というものは微妙な問題があるのではということも感じた。


最後はケニアのナイロビでバレリーナを目指す少女たちを紹介。貧しい環境で犯罪に手を染めることがないよう教育を助けるNGO。社会の苦しみに心身であらがう力となる芸術。素直な良さがあった。
style.nikkei.com
ちなみに現在、新型コロナ禍がケニアもおそい、スラムの少年バレリーナはリモートレッスンも受けられないでいたという。幸いにも高級住宅街のレッスンに参加することができたというが……
newsphere.jp