法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

死刑廃止国と死刑存置国の全体を比較しなくては、死刑と射殺が相関している傍証にもなるまい

はてなブックマークid:ukitax氏のエントリが注目を集めているが、そもそも何に対して反論しているのかよくわからない。
死刑廃止国が犯人を射殺した件数を調査してみた - 痩せるコーラ

死刑廃止国は現場で犯人を射殺しているのに
死刑が野蛮とかおかしいじゃないか!」

本当かよ…

そしてこの意見に対する死刑廃止派の反応もお決まりのモノ
「『死刑廃止国では現場で犯人を射殺している』というのはデマだ!そんな統計データはない!」

弁護士界の長レベルの超エリート達が
「『死刑廃止国では現場で犯人を射殺している』というのはデマだ!そんなこと言ってるやつは低能!」
と感情的になって反論するのでは前に進まない。

このように要約されている意見が実際はどのようなものなのか、ukitax氏はまったく提示していない。


少なくとも、死刑廃止国では必ず現場で射殺しているという主張ならば、ノルウェーの存在が反証になるだろう。
ノルウェー警察が10年間一人も射殺していない理由 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ちなみにノルウェー終身刑もない。これは厳罰をやめると代替として射殺が選ばれるという概念への反証ともなる。
逆に、死刑廃止国のフィリピンはドゥテルテ政権で射殺を推奨しはじめたが、同時に死刑制度の再開へ向かった。
フィリピン:死刑再開は薬物問題の解決にはならない : アムネスティ日本 AMNESTY
これは制度として、死刑と射殺が公権力の拡大として一致して推進されている一例といえる。死刑と射殺は相反しない。


また、日本は社会全体において銃の使用が抑制され、それが官憲にまでおよんでいるという事情もある。
だから射殺数こそ少なくとも、現場で容疑者を死傷させないとは限らない。最近ではTV局が制圧死を撮影しながら警察の押収に応じたことが問題視された。
鹿児島・警官取り押さえ男性死亡:警察官による制圧死 撮影したTBS、映像を放送せず - 毎日新聞

業務上過失致死罪で2人の警察官が有罪判決を受けたが、事件は警察に密着取材するTBSテレビの番組の撮影中に起きていた。

難民の申請がとおらず入管施設に収容される問題もひどくて、ここ10年で日本側が責任を負うべきと考えられる死者数は12人にのぼる。
特集:「難民鎖国」日本の現実|週刊金曜日公式サイト

過去10年間で12人が死亡。自傷行為も約100件

死刑存置国であるがゆえに生命を大切にあつかっているとは、少なくとも日本の場合はいえない。