法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』なんでもバイキング/ジャックとベティとジャニー

アニメオリジナルの前半と、原作短編を再アニメ化した後半と。氏家友和演出で、作画は柔らかくてよく動いてはいた。


「なんでもバイキング」は、ホテルのバイキングを楽しんだというスネ夫に対抗して、願いを何でもかなえられる秘密道具を使用。のび太ドラえもんはしたい放題するが……
アニメオリジナルの秘密道具で、しかも万能系。今年の映画にデザインをあわせただけでなく「放題」と「砲台」のダブルミーニングもふくんでいたのは良かったが、はっきりした制限は10回しか使えないことくらいで、ただ思いついた願いをいうだけの中盤までは単調でしかたがなかった。
その場にあるものをやりたい放題するのではなく、ママが願いどおりにドラ焼きを買ってきた序盤も違和感があった。一般的な現実のバイキングでは、係にたのめば料理を補充してはくれるが、異なる種類の料理を持ってきてくれるケースは少ないだろう。実際、しずちゃんが終盤に願いごとをいった時は、周囲にしか効力が発揮されなかった。
ただ、最後の最後にジャイアンスネ夫が願いごとをいって失敗するのは、ただのダジャレオチのようでいて、ちゃんと序盤で願いごとには具体性が必要という説明がされていたので、けっこう納得感はあった。


「ジャックとベティとジャニー」は、しずちゃんのもっている人形が行方不明になり、行方を探すこととなる。出木杉の推理に対抗して、のび太は秘密道具で人形に質問するが……
2007年に「私のジャックをとらないで」というタイトルで映像化された後期短編の再アニメ化。サブタイトルもふくめて、より原作に忠実な内容で、だからこそ再リニューアルで向上した作画の良さがよくわかる。本筋とは関係ないが、タイヤキ釣りの作画がかなり立体的で良かった。
物語としては一見するとシンプル。しかし構造を見ていくと、人形探しをめぐる三角関係に、人形の持ち主の三角関係が平行して、さらに人形同士でも三角関係が発生するという、多重性が楽しい。