法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

くま川鉄道とゲーム会社によるコラボイベントの経緯説明に、どうしても引っかかるところがあった

キャラクター切符のコラボイベントそのものの正当性は語れないが、ちょっと目的が衝突していないかと思うところがある。
「くま川鉄道」における「くまてつ」企画に端する一連の経緯につきまして | Lose
まず最初の判断として、単純な寄付よりも、イベントで収益化するというのは、継続化のためにも悪くないとは思った。
しかし、そこから成年向けゲームのキャラクターを、使わずに利用するという選択は、そもそも無理があったと感じてしまう。

オリジナルキャラクターによる描き下ろしだと約100万円程度の売上げと
予測できましたが、本件での目標収益には到底届かないということが判明いたしました。


そこで第2次案として、既存キャラの利用を検討致しました。
現状での「まいてつ」の売上とグッズ販売数から推測すると、「まいてつ」ユーザーに
ご支援を呼びかけることにより、最大1000万前後の売上げは十分可能性があると
考えることができました。

鉄道会社とゲーム会社が協議して出した推測とはいえ、オリジナルから成年向けゲームに変えると10倍の収益が見こめるというのは、どこまで本気なのだろうか。
パソコンゲームについては本当にうといので、そこまで人気作品とは知らなかったが、そのような人気ゲーム会社が協力してもオリジナルでは収益が見こめないのだろうか。オリジナルでもユーザーに呼びかけることはできないのだろうか。
とはいえ、ここは少し疑問に思っただけ。オリジナルを求める人は推測の根拠を追及したいだろうが、私は引っかかるほどではない。

「まいてつ」は今後、アニメ化やコンシューマ化も検討されておりますが、現在は
R18コンテンツですので、1年半〜2年半後であればコラボも可能ではないか、
とのご提案を致しました。

ゲームについては本当にうといので知らなかったが、それほど人気コンテンツであったなら、アニメ化やコンシューマ化までせずとも、コミカライズやノベライズで一般向けにスピンアウトすれば、間にあったのではないかと感じなくもない。
今件については、このように経緯説明でコンシューマ化の検討が表明される前、最近ではコンシューマ化が壊滅的だという業界関係者*1の会話を見かけた。

現状で本当に一般向けにできるほど訴求力があるなら、漫画や小説でも充分に独立した作品にできたのでは、という気がする。今となっては難しい話かもしれないが。


そして一般向け化する時間が待てないということで、成年向けゲームを使うことにしたというのだが……

そこでR18コンテンツである「まいてつ」のゲーム名はもちろん、会社名、イラストレーター名など一切使用せず、
同時に「まいてつ」ユーザーにアピールする案として、


・「くまてつ」という新しい企画として設定し、キャラクター設定としては、
「まいてつ」の“レイルロオド”という設定を生かし、同じ見た目で量産された
別キャラクターとする。


・「まいてつ」のロゴやキャラクターを改変したものを使用し、
一見ではわからないが、「まいてつ」ユーザーにはわかるようにデザインする。

ここが読んでいて引っかかったところ。
オリジナルから10倍の売り上げにできる、アニメ化も検討されている、それほどの人気作として売り出しながら、一見ではわからないデザインというのは、根本的に無理があったのではという気がしてならない。
実際には「差分」と呼ばれるほどゲームと酷似した絵が提供されたし、ゲーム会社が広報したことを受けてユーザーからも懐疑的な反応があったようだし*2、ユーザー以外も酷似に気づいていった。


この経緯説明を読むかぎり、鉄道側もゲーム側も、成年向けゲームそのものは使えないという判断で動いていたらしい。
しかしオリジナルより高い収益をあげるという目標を立てた以上は、成年向けゲームを素材にすると最初から表明して、関係各所と調整するしかなかったように思える。
行政を騙くらかして不謹慎*3を滑りこませるという冒険も、それそのものは嫌いではないのだが、その場合は滑りこめなかった時点で失敗したと認めざるをえなくなる。

*1:id:kanose氏は成年向けゲーム雑誌の元編集長。

*2:くま川鉄道・美少女ゲーム『まいてつ』コラボ切符発売中止騒動関連ツイートまとめ : 筆不精者の雑彙に批判的なツイートがまとめられていた。

*3:不謹慎そのものの妥当性は今回は語れない。