〜「はい博士、ロボの動力は原子力です」(幻聴)〜
深海の裂け目から次々にあらわれる怪獣を、巨大人型兵器イェーガーで対抗できていたはずの人類。しかし強力になりつづける怪獣に対してイェーガーは無力と判断され、巨大な壁で怪獣を排除する計画が始まった。
イェーガーが無力とみなされる原因の敗北を経験した主人公は、壁の建設作業者からイェーガーの操縦者へ戻ることになったが……
続編の制作も発表された2013年のアメリカ映画を、今さらながら土曜プレミアムで視聴。2時間半に枠拡大していたから、あまりカットはされていないはず。
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あまり情報を集めていなかったので、いきなり冒頭でイェーガーが実用化されていて、そのおかげで怪獣を余裕で処理できているという説明に面くらった。この冒頭だけで映画一本つくれそう。そこから主人公を挫折させて再起させる導入のためだけに設定を使い捨てる。この設定過剰なつくりに、同監督の『パンズ・ラビリンス』を思い出す*1。
ただ主人公の挫折と再起は案外とベタで、各国のイェーガーもステロタイプな魅力の延長。ソ連は無骨で旧式ながら最強で、中国は頭数を利用してトリッキーに戦う。それに設定もかなりリアリティを切りすてていて、二足歩行兵器の必然性が説明されていないところは許容できるとして、さすがにそれがディーゼルで動くのはどうなのか。
とはいえ、過去のさまざまな作品を現代風に再演したVFX映画として楽しんで見ることはできた。ミニチュア特撮はほとんど使われていないが、かわりに3DCGの特性を活かして海上で水しぶきをあげる戦闘が多くて、イェーガーもさまざまな都市を舞台に曲芸のような格闘戦を披露する。過去の怪獣映画では見られなかったような絵がいくつも出てくる。
アナログ原子力ゆえ主人公機のみが活動できるところとか、ガリアンソードならぬチェーンソードとか、どこかで見たようなロボット描写が最新の映像技術で動きまわる描写は楽しいものだった。
*1:少女が怪物に追いまわされるシークエンスも共通しているか。