法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キューティクル探偵因幡』雑多な感想

1クールで展開された、BLチックなギャグアニメ。特殊能力を持つ半獣人と、それを上回る奇人変人がいる世界で、探偵とマフィアがバカバカしい戦いをくりひろげる。原作は全くの未読。
全体のバランスが良く、今年度の冬に始まったTVアニメで、最も素直に楽しめる作品の一つだった。


ほぼ半パート1話の構成でギャグの密度が高く、1話内での演出の呼吸もメリハリあって笑える。徐々に新キャラクターを投入して物語をきちんと進め、何度かシリアス回もはさみ、勢いが出すぎないよう制御。空中分解することなく最後まで飽きなかった。
ギャグそのものの質も良い。主に愛情の過剰さで笑いを取りつつも、弱者を嘲笑することも強者に媚びることもなく、人間に対する目線が優しい。パロディにたよらず、比較的に普遍的な題材で笑いをとっていたことも好印象。見ていて引っかかることがほとんどなかった。
シリアス回が滑っていないのも、作り手の視野の広さを感じさせた。警察の冤罪体質と利用された集団の復讐劇や、監獄内ではぐくまれる悪党の仲間意識といった、オーソドックスなクライムストーリーを真面目に構成。そこに普段どおりのギャグを入れながら、雰囲気を壊さないバランス取りのうまさ。


残念ながら作画は近年のTVアニメとしては弱めだったが、全体を通して安定していて破綻はしていない。動きで笑わせるギャグのような要所には、きちんと力を入れている。他にも無駄な3DCGを活用したりと、持てる手札は適切な場面で使い切っていた。