貝澤幸男コンテ、高橋晃作画監督。作画修正が精緻なおかげで、心象を表現するようにゆがんだレイアウトが、意図的な演出とわかりやすい。最近の貝澤回ではベスト。
物語は、妹を失ったことで懊悩を続けているエデンへスポットをあて、敵内部の人間関係を掘り下げていく。末娘を使い捨てにしたことで、家族関係は全くの見せかけかと思えば、一人の場面でそれなりに息子を重視していることが確定する。やはり敵はパターナリスティックな存在か。
ただ、獅子座の黄金聖闘士が威厳を見せようとしても、すでに複数の黄金聖闘士が敗北している展開が足をひっぱっている。ただ負けたのではなく、わざわざ子供時代を語って、人間としての底を見せた上で負けているから……獅子座自身の忠誠心はこの作品で珍しいキャラクターの強度を作り上げていて、良いのだが。