久々の全面的な戦闘回。瀬戸内海を荒らしまわっていた海賊と、関白に帰順した海賊衆の戦いを描く。
冒頭で、いつもの前口上を解説する未来人を突然の爆発が襲う。いきなり本気度が伝わってくる。
だだっ広い草原の斜面ではいつくばりながら飛び道具を撃ち合う前半、敵と関係しているらしい集落を目指して山道を進む中盤、さびれた集落で互いに建物へ身を隠しながら敵との緊張感ある戦いを描く後半と、よくできた戦争映画のような緊張感は充分だった*1。
火薬や火縄銃で派手な爆発や自然なVFXを多用しつつ、死ぬ瞬間の演技に過剰さがない自然さが、演出として素晴らしい。
敵情報の収集を通して、当時の火薬製法を説明する展開も、小悪党が充実した武器を持っているエクスキューズであると同時に、知的好奇心をそそる。
ただし、とりしまる側と、とりしまられる側が、もともと大差なかったことは説明されないままだった。賊船禁止令など言及されつつも、あくまで敵は盗賊で、侍である海賊衆とは別物として処理された。30分番組であればしかたないかもしれないが、シーズン3の尺があれば敵側の言い分や味方側の鬱屈も拾えたかもしれない。それが少し残念だった。
尺の少なさは結末でも感じられた。兵法書を頭につめこんだ若者に対し、現実の戦闘が厳しいことを思い知らせるために、海賊衆の頭が長々と語る。テーマを台詞で安直に語らせて、このドラマが持っている良さが薄れていた。せめて味方全員が棒立ちの状況ではなく、死体を片付けたり山道を戻ったりしながら独り言のように語っていれば、ずっと映像として自然だったと思う。
結末の字幕で語られたような、長々と説教をした当の本人が討ち死にしたという皮肉な結末は良かったのだが。