法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『NHKスペシャル』コンピューター革命 最強×最速の頭脳誕生

未来予測アニメパートがProduction I.Gで制作されたことで話題を呼んだ回。
NHKスペシャル

世界各地で進むコンピューター革命の最前線ルポに加え、コンピューターが高度に発達した近未来の東京を舞台にしたアニメも挿入し、変貌の行方を描き出す。

キャラクター作画にグラデーションがかかっていたり、映像面では『ギルティクラウン』を思い出させるポップなしあがり。
原案として瀬名秀明がクレジット。ドキュメンタリパートで登場した心臓シミュレーションや、地震の早期探知といったスーパーコンピュータによって可能な出来事を三題話のようにまとめていた。
余命が予知できるために変化する人生設計や、コンピュータを人間が補佐する立場になる未来図と自己実現を目指す少女の心情を重ね、短いパートながらSFのエッセンスは充分に感じられた。


ドキュメンタリパートでは世界最速のコンピュータとして「京」を紹介し、様々な楽観的な未来予測を紹介。
しかし後半では、瞬時に売買するコンピュータに株式市場が支配されたため、瞬間的に下落する「フラッシュ・クラッシュ」のような現実に起きた事例も紹介。
最後に北米で「京」を超える能力を持つスーパーコンピュータが稼動間近ということも伝え、特に日本一国を賞賛するような作りでもない。
あまり詳しくない私のような人間が見るには、雑多に長所短所を説明しつつテーマがはっきりしていて、ちょうどいい作りだったと思う。


ちなみに『NHKスペシャル』は以前にも「沸騰都市」シリーズでも未来予測アニメパートをProduction I.Gに発注しており、意外な起用ではない。
NHKスペシャル

 番組は、「沸騰都市」のタイトル映像を担当した、クールジャパンの代表格プロダクションIGが、未来の東京の姿をアニメーションで描く。ドキュメンタリーとアニメ、2つのアプローチで、超効率都市を目指し、止め処ない膨張を続ける東京を描いていく。

こちらは、あくまでアニメキャラクターは傍観者に徹した内容。膨張を続ける未来の「TOKYO」を、川井憲次のBGMに乗せて男達がさまよい歩く姿は、映画『機動警察パトレイバー the Movie』のテーマをそのまま受け継いでいて、興味深かった。
比べると今回の「コンピューター革命」は、アニメパートとドキュメンタリパートの接合がゆるく、キャラクタードラマとしての独立性が高い。変化する社会を視覚的に強調するのではなく、社会の変化を前提として対応する人間側が描かれていた。
どちらが良いとも悪いともいいがたいが。