法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スイートプリキュア♪』第1話 ニャプニャプ〜!スイートプリキュア誕生ニャ♪

誰もが指摘しているが、アバンタイトルからOPまで長く、しかも音楽の国が舞台となって主人公は全く登場しない。女王の説明台詞も長く、ここまで段取り臭い展開は『プリキュア』シリーズでも初めてではないか。
本編が始まってからも主人公が自己紹介する独白が長いが、こちらはキャラクターの興味を持つ出来事を映像とともに描写しており、かつ主人公の興味対象を利用して場面転換して主人公2人の関係性も示し、そう悪い印象ではない。
とにかくアバンタイトルの出来事は次回以降に妖精から主人公に説明させて、今回は人間世界の出来事を描くべきだったと思う。そうすればアクションを描写する余裕もできて、怪物ネガトーンの暴力を見た主人公がプリキュアへ変身する説得力も増したのではないか。
シリーズ構成の大野敏哉がアニメ脚本を初めて手がけるためか、全体的に絵を信用しない台詞が多かったものの、人間側の主人公2人と妖精側の猫2匹の対立を反復して重ねあわせるよう描いた物語構造は悪くなかった。つたない説明は問題だったが、今後に期待はできる内容だったと思う。


映像面では学園の構造がわりとしっかり描写されていて、キャラクターの移動する距離感などが意外とうまく表現できていた。『フレッシュプリキュア!』と比較して、キャラクターの頭身に見あったリアリティある世界観と感じられる。
細かいところでは、主人公の1人である南野楓が作ったケーキが、安易に光を散らすようなアニメ的デフォルメ演出をせず、きちんと彩りから形状まで美味しそうに作画されていたところも印象深い。ここのケーキが美味しそうなので、もう1人の主人公である北条響が盗み食いする描写にも相応の説得力がある。
キャラクター作画も全体的にむらなく整っていて、子供向けの東映アニメーション作品では最も現代的*1な高橋晃デザインを、きちんと本編でも見せることができていた。3DCGを活用した変身バンクもまずまず。
しかし作画監督が小島彰、山岡直子、山崎展義の連名というところが制作スケジュールへの不安を生む。作画監督が3名以上も初回に登板したのは、この枠では記憶だと初めて。普段の東映アニメーションのようにスタッフを集めず安く仕上げるよりはいいとは思うが……

*1:といっても00年代初頭くらいか。