法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第1話 ごはんは笑顔♡変身!キュアプレシャス

グルメ街の「おいしーなタウン」に暮らす元気少女、和実ゆい。和実は坂をころがり落ちるベビーカーを救ったり、公園のベンチでたおれている男性ローズマリーをひろったりと、人助けに精を出す。ローズマリーはマリちゃんと名乗り、和実が昔から見ている謎の存在を妖精レシピッピと教えるが……


深澤敏則シリーズディレクター演出、平林佐和子シリーズ構成脚本。作画監督は今作のキャラクターデザイナー油布京子ではなく、シリーズ初代のキャラクターデザインを手がけたベテランの稲上晃
映像も物語も安定感あり、ガールズアクションアニメの導入としては完璧な初回だった。きちんと美味しそうに作画撮影された料理と、舞台となる街の個性をわかりやすく見せるアバンタイトルから、本編でシャッター街になっている落差で印象づけ。主人公と残りのプリキュアになるふたりや*1、サポート的なキャラクターとの人物紹介をかねた出会いをすませ、敵の攻撃の特性と味方側の対抗手段を展開し、ひとりめのプリキュアへの変身から戦闘の決着までを描ききった。
そうした内容はシリーズの定番をまとめただけだが、少なくとも初回を楽しめるくらいには主人公が魅力的。サッカーの助っ人として活躍している導入には、よくいる元気主人公のテンプレをあてがっただけに感じたが、公園のベンチに空腹で横たわっている大人をかついで食堂まで運ぶ想定外の行動で、驚きつつ感心した。
キービジュアルなどで他のプリキュアより背が低いことからマスコット的なキャラクターと思い、変身バンクで力こぶを見せるカットに引っかかりをもちつつも見逃していたが、予想外のパワーキャラ。前作主人公の声優の初主演作を思い出す。

低身長デザインは、むしろ膂力のすさまじさとのコントラストを意図しているのだろう。体の丸みや手足の太さも脂肪ではなく筋肉だろうか。
戦闘でも変身前から隔離系フィールドに力づくで侵入し、怪物相手で生身のまま善戦する。過去作にも月影ゆりや相田マナのように変身前から高い戦闘力を発揮するプリキュアはいたが、格闘技術や敏捷性ではなくパワー系フィジカルとなると類例が思いつかない。
いわゆるオネエキャラのローズマリーも、フィールド発生系のサポートキャラかと思いきや、わりと攻撃力も高かったりして、今作はパワーファイトが楽しめそう。2020年代にもなって古臭く単純なマジカルゲイを見せられても困ると思っていたが、主人公をはじめ誰ひとり笑ったり距離をとったりせず、作品の対象年齢もあってか男性への愛情で思考が支配される描写もない*2。まだステレオタイプを脱するにはいたっていないが、今のところ懸念していたよりは悪くない。

*1:主人公が和食をイメージしたプリキュアになり、残り二人が中国と欧州を思わせるデザインになっているのがグローバル。料理について視野を広げるストーリーを期待したい。

*2:そもそも仕草が戯画的なだけで、同性愛者や両性愛者ではないのかもしれない。戯画化された同性愛者のように異性愛者がふるまっているとしたら、それはまた別の論点とはなるし、設定を確認をすればやはり同性愛者なのかもしれないが。