法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エレメントハンターELEMENTHUNTERS』MISSION.13 破滅を呼ぶ特異点

今回単独では、完全にコロニーチームのドラマ。主人公チームで物語を動かすのはレンだけで、それもアリーのドラマを導く役割。もちろん次回にアリーのドラマを受けてレンのドラマが進行するのだろうし、そうでなければ困るが。


会議場面は照明が暗く、いかにも思わせぶりな演出ではあったが、単純に意見が一致するわけではなく、拙速をたしなめる者がいたりと変化をつけていた。様々な考えを持つ者が集まっている実感がわくし、合法的に不都合な人間を処理しようとする残酷さが下手に安っぽい悪役集団よりも強調される。
また、アリー達の直接的な上司であるコフが、以前はアリーの疑問に応えず行動を制しながら、今回になると一貫してアリーをかばっていたのが巧い。自主性を阻害したのは、上層部に目をつけられないようするためだったのだ。悪役らしく見せて実は良い人*1という深みが自然に出るし、大人の視聴者には中間管理職の悲哀すら感じさせてくれる。話ごとに意見や態度が変化しても、上司と部下どちらかに配慮していると想像させ、巧く御都合主義な感じが薄れる。一石三鳥な説明描写で、とりあえずコロニーチーム側にあった違和感は解消された。
トムが主人公の状況をアリーに伝えた描写も面白い。アリーを危機に陥らせつつも、結果として主人公を助ける行動でもあり、冷笑的でありながらどこか憎めないキャラクターが立っている。
ただ、こういう展開では真面目かつ上司の命令や規則に疑問を持たないキャラクターが活躍しにくい。今回のロドニーも、せいぜい場を収めたり、アリーの行動に驚くだけの役割しかなかった。


QEXに、元素関連のアイデアは少なくとも今回はなかったが、共生する植物が自己の利益を追求した結果として天然の罠へ進化していった設定が面白い。
結末で、QEXの特性をちゃんと絵にしているのもアニメ作品として良かった。

*1:念のため、きちんと説明せずに選択肢を排除する態度は、パターナリズムではある。