本郷みつる監督、旧キャラクターデザインだった湯浅政明がセットデザイン。初期スタッフが戻ってきて、娯楽性を最優先した往年の面白さがある。
日常と非日常を行き来する演出、異世界のデザインが見事。あからさまに安い3DCGすらデザイン的な処理に奉仕していて楽しめる。
物語構造はシリーズのパターン通りだが、しんのすけの行動が周囲に飽きられている場面から、家族やゲストヒロインを失って独り立ち向かう場面にいたるまで、独自のテーマを持っている。家族愛を前面に押し出すようになった最近のクレしん映画へのアンチテーゼは、ひまわり誕生に合わせて降板した本郷みつる監督ならではか。幼稚園児が主人公のアニメで親離れを視野に入れていることが何ともすごい。
あえて難をいえば、やや作画の巧さが一本調子で、特筆して印象に残るアニメートが少ない程度。
……といった映画内容はともかく、TV放映に合わせて編集され、EDが削除されていることにあきれた。いや、主題歌が途中で途切れることについては最近のドラえもん映画放映時がもっとひどいから、まだいい。
問題は、スタッフクレジットをOPで表記してしまっているため、声優クレジットで一部ネタバレしてしまっていること。ありきたりで予想できるネタとはいえ、少しは編集時に考えるべきだろう。
