法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

やはり『FLAG』こそ『ガサラキ』のあるべき姿

今年はTVアニメ『ガサラキ』の描かれた2014年。


どこかでTVアニメ『ゴルゴ13』の最終回1話前、Target.49「装甲兵SDR2」が放映されたらしい。それがゴルゴとパワードスーツの戦闘だったことで、また『ガサラキ』の話題で盛りあがったようだ。
20140309のガサラキおじさんTL - Togetter
たまたま「装甲兵SDR2」は原作で読んだことがあり、アニメ版も以前にGYAO!で視聴した。適度に現代のアニメ技術をとりいれつつ、話運びのテンポも良くなっており、なかなか良い映像化だった。
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制作会社のアンサースタジオは、『ガサラキ』と多くのスタッフが共通するロボットアニメ『FLAG』を制作。それ以降も『装甲騎兵ボトムズOVAシリーズで制作協力を続けている。「装甲兵SDR2」のコンテ演出作画監督を手がけた竹内一義は、それらのシリーズにキャラクターデザインや作画監督として参加している。
当該エピソードを見て『ガサラキ』を想起するのは、そう不思議なことではなかったのだ。


このTogetterを見ていくと、[twitter:@kaolu4s]氏が興味深い『ガサラキ』批判をしていた。

私も能にくわしいわけではないが*1、そのワキがシテの話を聞く構造は、まさしく『FLAG』の人物関係に通じるのではないか。白州という主人公カメラマンを、赤城という先輩カメラマンが追いかけるという構図。
物語としても、能と同じように前後の二部構成となっている。映像としても、能の特色である静を重視した表現がなされている。


能との関連性はともかく、Togetterでは『FLAG』への言及もある。しかし知名度のなさや、内容のつかみどころのなさで語られにくい状況のようだ。
いずれ全13話の見どころ、特に通常のアニメと異なるのはどこかということを、念入りに紹介していくエントリを書いてみたいところだが。

*1:こちらの宝生流の能解説サイトを参考にしただけ。http://www1.c3-net.ne.jp/kimeikai/explanationJ/Jyakumei.html

『月刊WiLL』2014年4月号に漫画が全頁掲載された「論破プロジェクト」

対価をしはらうべき雑誌とは思えなかったので、図書館で最新号を閲覧しただけだが、ざっと全体を見ただけでもひどい内容だった。
月刊WiLL 2014年4月号|雑誌|ワック
悪名高いコミPo!制作版ではなく、論破プロジェクトが団体として制作していた『The J facts』である。アングレーム国際漫画際に出展される作品は賞レースにかかわるものばかりではないが、広告漫画制作を本業にしている団体の作品としてはさびしい出来だ。


主張は、ほとんど最近のインターネットで見かけるような主張をひきうつしただけ。
「テキサス親父」が米国公文書をとりよせた話も出てくる*1。「テキサス親父」が「論破プロジェクト」への支援を表明した*2から採用されたのか、それとも当初から関係を持っていたのかはわからない。
いずれ貸出し可能な状況になった時、気力があれば図書館から借りて、細かく読んだエントリをあげたい。


もちろん、漫画作品としての魅力はない。
当時の慰安所の実態がどうであったか、主張したいとおりに描く画力もないのだろう。以前のエントリで紹介した冒頭の延長で、登場人物がバストアップで会話する場面ばかりつづく。
「慰安婦漫画で日本が倍返しだ!」「見た目は派手だが、脇はがら空きだぞ」 - 法華狼の日記
それなのに、いったん解説が一段落した中盤に、少女が風呂に入るサービスシーンはある。このテーマで性的なアピールをキャラクターに演じさせても、国外へのプロパガンダとしては逆効果に思うのだが。


あと、ざっくり読者投稿欄を読んでいた時、最後に面白い謝罪文がのっていた。同じ文章は公式サイトの4月号ページにも書かれている。

小誌3月号、潮匡人氏の「ちょっと変だよ TBSと関口宏」の記事のなかで、「サンデーモーニング」が東京オリンピック決定を報じたことに触れた99ペー ジ下段、「司会の関口氏『従軍慰安婦への補償が先』と発言」と掲載しましたが、放送中、そういう発言は一切ありませんでした。取り消してTBS並びに関口 宏氏に謝罪いたします。
編集長 花田紀凱

どうしたらこのような間違いができるのか、逆に不思議な気持ちになった*3

*1:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20130724/1374624159で説明したように、古くから確認されている資料であり、実際には慰安所制度の問題性を明らかにする内容である。

*2:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20140107/1389050890

*3:エントリを上げた後、インターネットで出回ったデマということを、はてなブックマークid:kaos2009氏に教えていただいた。http://b.hatena.ne.jp/entry/blogos.com/article/69711/