法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

忘却のゼロ年代アニメ

http://blog.livedoor.jp/anipression/archives/51188864.html

まどかマギカの「伏線&回収」の出し方は非常にテンポが早く、1話の伏線は2話で回収して、2話の伏線は3話で回収していきます。
同時に1話からの大きな伏線が用意してあるなど、回収の早い伏線と取っておきの伏線の二種類が用意されていることもまどかマギカが「驚きの連続」を実現するための要因です。
そういう二種類の伏線を用意するのはよくあることなんですが、まどかマギカほどにテンポよく「伏線&回収」をしていく作品は他に類を見ないんですよね。

それは『コードギアス反逆のルルーシュ*1そのものではないかと思う。受けた原因とされた理由もほぼ同じだ。
様々な特殊能力少女物『舞HiME』『時をかける少女』等々のエッセンスをひとまとめにして、王道の悲劇や燃え展開に乗せる。一見して過剰な映像デザインだが、よく見ればオーソドックスなコンテ演出で状況をわかりやすく提示する。
だから『魔法少女まどか☆マギカ』が人気をえるのは当然だと思うし、同時に4クールも驚かせ続けると世界観が自壊してしまうだろうと思う。あと、この話題で『コードギアス』の名前が出ていないところから、勢いあるまま突っ走った後は、忘れられるのも早いのではないかという懸念も残る*2


ちなみに私としては、主人公の決断が物語を引っぱった作品と、主人公が決断から遠ざけられる作品という差異が面白く感じる。
十年もたっていないのに、もう主人公の決断が受ける時代ではないのか、それとも主人公の決断を爽快に描きすぎて主人公の障害となるキャラクターがバッシング対象になった*3反省からか。……結論を出すには時間も材料も足りない。

*1:さらには同じ谷口悟朗監督による先行作品『プラネテス』、さらに谷口悟朗監督が各話演出家として深く関わった1990年代の傑作TVアニメ『勇者王ガオガイガー』等々の過去作品へさかのぼっていくこともできるだろう。

*2:もちろん『コードギアス』ファンは今でも数少なくないが、熱狂的ファンの外部にまで与えていた影響力が消えてしまっている、ということ。

*3:魔法少女まどか☆マギカ』も美樹さやかにそのきらいがある。

「でも放射能をもっている農作物は怖いよ」

山本弘のSF秘密基地BLOG:福島産の農産物をじゃんじゃん食べよう!

「わかった、ガイガーカウンターを出そう」
「やった、これで安心して食べ物を食べられる」
「安心できるだけで、安全かどうかはわからないんだけどね。それでも使う?」
「わかったわかった」
「ぜんぜんわかってない」


「わっ、針が動いた」
「ちゃんとニンジンも残さず食べなさい」
「でもママ、ガイガーカウンター放射能を検知したよ」
「まあっ!」
「おいママ、残しているけどいいのか」
「しかたありません」


「こりゃあおもしろいぞ。何でも使ってみよう」
「わあ、何だそれ」
ガイガーカウンターでしらべてほしいやつ、この指とまれ
「しらべてしらべて」


「まず俺様からだ。明日の予定があるからな、空き地がだいじょうぶかどうかしらべてくれ」
「おい針が動かなかったらどうすんだよ」
「まあ見てて」
「どうだ、ここはだいじょうぶだろ」
「ダメ、土管で針が動いたよ」
「そうか、電力も足りないし来月までじしゅくしよう。ごめんな」
「残念だなあ、来月までといわずに来年まで、いや来世紀までじしゅくしてもいいんだよ」
「シッ」


「次は僕のラジコンを調べてくれたまえ」
「うーん、この最新型の飛行機と、戦車のラジコンに放射能があるなあ」
「どうするんだそれ」
「責任を持って放射能を洗って返すよ」
「おい、ほんとうに返せよ」


「ウヒヒ、これでたっぷりラジコンで遊べる」
「ねえ、わたしもガイガーカウンターでしらべてちょうだい」
「うん、あぶないからね。まず肌に直接さわっているパンツから・・・」
「いいかげんに返せ!」


「今日の晩ごはんまで使わせてくれよ」
「さあ、今日はハンバーグよ」
「わあい」
「ちょっと待ちなさい、そのガイガーカウンターで調べます。あら、これじゃ食べさせられないわね」
「ママ、そんなひどいよ!」
放射能があるからしかたがないでしょう。今日はがまんしなさい」


「ハンバーグ・・・ぼくのハンバーグ・・・」
「これでわかっただろう、安心するためといって何でもかんでも遠ざけていたら、人は生きていけないんだ。わかった?」
「・・・うん」
「本当はこれミダスカウンターといって、放射線恐怖症で生活できなくなった人の治療に使う道具なんだ」
「じゃあ本当は安全だったの?」
「弱い放射線はどこでも検出できるし、放射線だけが危険なわけじゃない。バランスを考えて生きていかなくちゃ」
「・・・のび太、ハンバーグを温めなおしたわよ。おりていらっしゃい」
「ミダスカウンターは使ったぼくたち以外の記憶が消えるんだ。さあ晩ごはんを食べにいこう」
「良かった良かった・・・え、ちょっと待って。みんな記憶が消えるの?」
「もちろん」
「大変だ! 明日にジャイアンリサイタルが始まっちゃう!!」
「・・・大変だ!」


ジャイアンをリサイタル恐怖症にする秘密道具を出してくれえ」
「そんな道具、あったかなあ・・・」
(おしまい)