連載中の漫画原作者が編集部の一室で服毒死した。その毒物を購入していたことや、手書きの遺書と思われる走り書き、扉の内鍵についた原作者の指紋から自殺と判断される。原作者をしたっていた担当編集によると、連載打ち切りの話もあったという。
しかし漫画のファンだった亀山薫が弔問の帰り道、工事現場から落ちてきたハンマーに強打された。作画担当の漫画家や、原作者を補佐した弟子に聞きこみをはじめる特命係だが……
徳永富彦脚本らしい、極端に愚劣で人工的な凶悪犯罪が描かれる。編集部には誰でもつかえる合鍵が置いているので厳密には密室ではないが、指紋のついた経緯を杉下が推理して逆に殺人事件の根拠とする。
ためしに杉下が読んでみている連載漫画について、顔を出した二課の角田課長が昔の漫画と同じ台詞がつかわれていることを指摘して*1、どこかの段階で盗作がおこなわれていることを示唆する。
作中漫画の敵である土蜘蛛から、蜘蛛のような犯罪者に原作者が傷つけられていったことを杉下は推理し、調べたことを語る。作品が原作者から安易に奪われたこと*2、そしてその目的がすぐに何の意味もなくなること。
そうして身勝手な犯人によるおぞましい真相があばかれた果てに、2年前に放送された「惡の種」*3との関連が明かされる。今回は予告などでの示唆もなかったと思うので、終盤に南井の写真が映るまでサブタイトルの示す関連性に気づかなかった。
南井の末路はそれなりに伏線が効きつつ意外性があって見事な幕引きだったので、今回のようなエピソードは蛇足になりかねないが、フィクションでもリアリティが欠けるほど愚劣な凶悪犯罪を成立させるために過去のキャラクターを再利用したと思えば許容はできる。
今回は捜査の過程で亀山が襲われるため、いつもとは違う情景が多く登場する。解決編において、舞台劇のように同じセットで回想と現在を行き来する演出も楽しかった。
ただし、劇中に登場する漫画絵の多くが、露骨にAI生成っぽい画風なのは、クリエイターを尊重しないことを批判する物語には合っていない。いくら低予算の刑事ドラマでも漫画家を呼ぶつてくらいはあるだろうし、考証をたのめば漫画制作のリアリティをあげることもできただろう。