法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第14話 おまかせ! 保育園でトロピカ先生!

トロピカる部で保育士を体験することに。たくさんの園児を相手に、部員はそれぞれの立場で奮闘することになる。そこに通りがかった幼い敵幹部エルダが怪物ゼンゼンヤラネーダを生み出して……


第8話*1につづく井上美緒脚本に、門由利子コンテ。藤原未来夫作画監督らしい頭身の高さが、園児の頭身の低さと良いギャップを生んでいた。
まず保育士体験が素直によくできている。高身長な滝沢がおままごとで赤ん坊にされたり、読書好きな一ノ瀬が読み聞かせの抑揚づけは下手で批判意見が殺到したり。キャラクター設定を活用してギャップを出すギャグが楽しい。
そこで普段は最も幼く力不足に見える鈴村は、逆に園児たちの目線にあわせて力を調節したりもする。傲岸不遜なローラも、昆虫好きで周囲から距離をとっている男子の孤高性を承認するし、地上人ではないため蝶の蛹を教えられる描写も自然に展開された。そんな真面目な雰囲気のところで、夏海がいきなり泥団子をもってくる唐突さもテンポ良く笑えた。
戦闘と同時進行でボーイミーツガールが展開される構成もシリーズでは珍しく、それが戦闘に直接参加しないローラの見せ場になりつつ、キュアコーラルがこれまでになく格好良い姿を見せる。なるほど、プリキュアはひとりひとりの防御力が高いため盾役を機能させづらいが、今回のように一般人を巻きこめば力強く他者を守るヒーローとしてそそりたつ。
演出面もそつなく完成度が高い。保育園という舞台設定をアクションで活用する絵コンテになっているし、先述したボーイミーツガールについてのローラ視点が映像と矛盾していない。


ただひとつ残念に感じたのは、積み木ゆえバラバラにしても再生するゼンゼンヤラネーダの倒し方。再生より早くバラバラにしつづけるという脳筋解決は夏海らしいが、もう少し説得力がほしいし、せっかくなら前半のドラマに伏線を入れてほしかった。
蛹が蝶へ羽化することや*2、幼虫の角の臭さなど、倒す伏線になりそうな描写がいくつかあったのに、そのドラマとアクションは分離したまま終わった。

*1:hokke-ookami.hatenablog.com

*2:これ自体は今回のゼンゼンヤラネーダが積み木を組みかえて姿を変える前振りになっているとも解釈できるが。