法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

かつて「Fact Check 福島」をたちあげた林智裕氏の、政治への抗議をめぐるtwitterにおける恣意性

WEBメディア会社のシノドスがたちあげた「Fact Check 福島」というサイトが約2年前から停止している。
Fact Check 福島 | ファクトチェック 福島 – 福島の未来へ、デマ・差別をストップ!
さまざまな方向から批判されて、差別に加担してしまったことを認めて、内容を見直すためだった。
「Fact Check 福島」自体の評価はさておいて、あまり周辺が良くないことは気になっていた - 法華狼の日記
サイトの立ちあげ*1から参加していたフリーライターの林氏は、サイトが批判されていた時期はtwitterに鍵をかけていた。
やがてtwitterを再公開した林氏だが、その内容はあまり「Fact Check 福島」への批判をふまえたようには見えなかった。


そして今年5月8日からtwitterでもりあがった「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグについて、下記のようにツイートしていた。

このツイートだけなら皮肉ではなく、運動に乗れない立場からの感想と読めなくもない。
しかし下記を注意せずリツイートしたことで、陰謀論にかたむいたことが見てとれた。

さらに同じ日に、中国船の侵入に抗議するハッシュタグでツイート。

新型コロナウイルスと日々の仕事で手いっぱい」という状況は1日たたずに解消されたようだ。


こうしたハッシュタグをつかって政治へ抗議する流れを受けて、国会論戦における立憲民主党福山哲郎氏へ抗議する動きもあった。
発端はdappi2019氏による国会中継ツイートで、専門家に対して恫喝するような質疑をおこなったと要約されていた。

ただし、映像の最初にある福山氏の強い言葉は、実際は安倍晋三氏の不規則発言に対する抗議だった。実際にそこで委員長が注意した対象も安倍氏だった。

しかし専門家である尾身茂氏が不当な批判をあびたとして、dappi2019氏のツイートは医療関係者にも信じられ、広められていった。

林氏はmph_for_doctors氏の上記をリツイートして、さらに宮原篤氏の下記をリツイート。「野次」が不規則発言をさすなら安倍氏なわけだが、宮原氏は福山氏に抗議した。

そして林氏は「#福山哲郎議員に抗議します」「#立憲民主党に抗議します」というハッシュタグでツイートするにいたった。

はたしてこれは「中身を理解していないのに騒ぐことはできない」という見識にそったツイートといえるだろうか。


とてもそうは思えない。
委員長すら注意した安倍氏のふるまいに抗議する動きが広まると、相殺する詭弁であるかのように林氏は評した。

前後して、林氏は「#福山哲郎議員に抗議します」で投下された下記のような主張もリツイートしている。

重要な案件として早期から新型コロナウイルスについても時間を配分しようとしたことを、抗議にあたいすると林氏は考えているのだろう。
国会の質疑時間は無限ではない。「全てのことにリソースを割けない」と林氏が主張できるなら、福山氏もそうだと理解できてもいいはずだ。


ちなみに医療関係者でも岩永直子氏は、福山氏を批判して尾身氏と安倍氏を肯定しつつ、「ネトウヨ*2を引用リツイートする問題へ言及していた。

しかし林氏は、岩永氏を批判するPoker_April氏やFuwarin氏*3リツイート

また、前後して林氏はVerlieben214氏の下記をリツイート。もし事業仕分けにおける蓮舫氏のように福山氏がふるまったのなら、抗議されるいわれはないのではないか*4


最後に、林氏は「#福山哲郎議員に抗議します」の動きをふりかえるように、下記のようにツイートした。

「話を短くしろ!」のように実際の発言とは雰囲気が違う要約を発端としながら、「福山氏に劣らない酷い言葉」という評価ができるものか。
私には最初から不当に酷い言葉が福山氏へかけられていたように見えるし、そこに林氏が加担していたようにしか見えない。

*1:クラウドファンディングをおこなったプロジェクトメンバーに入っている。「福島関連デマ」を撲滅する!――エビデンスベースの冷静な議論をするために - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

*2:なお、この言葉を他者がつかうことを積極的に止めはしないが、私自身はつかう気にはなれない。岩永氏も、誤解をまねかないためにも、酷い言説をまきちらしてきた個人を具体的に名指しするべきだったとは思う。

*3:日本軍の加害事件を題材にした漫画が政治家などから圧力を受けた事件に対して、「表現の自由」「振りかざしてもアウト」と評したような人物だ。『国が燃える』事件の無反省 - 法華狼の日記

*4:事業仕分けをコーディネートした当事者の記事で、当時の動きがまとめられている。スパコン「京」の運用終了。「2位じゃダメなんですか?」は何だったのかを改めて整理する(伊藤伸) - 個人 - Yahoo!ニュース