寸借詐欺疑惑で知られる*1大田区議のおぎの稔氏が、日赤献血ポスターについて下記のようにツイートしていた。
宇崎ちゃんポスター第二弾について、何やら手のひら大回転してる人いませんか?
— おぎの稔_大田区議会議員(荻野稔)無所属2期目 (@ogino_otaku) 2020年2月1日
ラドンもそうだそうだと言っています。
しかし第1弾と第2弾でポスターに差異があること自体は間違いなく、個々の論者の基準にてらしあわせて評価を変えたのならば、そこに何も不思議はない*2。
個々の基準がどのように評価に反映されているかや、基準の妥当性は個別に論じるしかないが、おぎの氏は具体例を示していないので何とも言えない。
さらに、なぜ「ラドンもそうだそうだと言っています」という台詞を引用しているのか、実際の作品を見ていないのか、と不思議に思った。
映画『三大怪獣 地球最大の決戦』でその台詞が出てくるのは、ゴジラとラドンが誤った態度をとった場面に位置づけられている。
直前まで、ゴジラとラドンはたがいに争っていた。そこにモスラがキングギドラという新たな脅威を知らせ、共闘を求める。
しかしゴジラとラドンは拒絶した。人間がどうなろうと関係ないとゴジラが主張し、それにラドンが「そうだそうだ」と同調した。
つまり「そうだそうだ」は、共闘すべき時に意固地になって敵対をつづける態度の一環なのだ。たがいに謝るまで対立をつづけることも表明される。
もちろん最終的にはモスラとゴジラとラドンが協力して、キングギドラを撃退する展開になる。むしろ作品全体では適切に手のひらを返すことが肯定された。
良くも悪くもインパクトのある表現なので、台詞単体で引用されるまでは理解できるが、おぎの氏の主張にはそぐわないのだ。
おぎの氏はアカウント名に「otaku」を入れるくらいアニメやマンガとの親和性を表明し、ツイートにたびたび台詞を引用している。
しかし下記のように、まとめブログのデマを信じたツイートで引用したりと、むしろ表現の価値をさげるようなふるまいが目につく。
[B! おぎの稔] おぎの稔_大田区議会議員(荻野稔)無所属東京都大田区 on Twitter: "一つ、質問いいかな?入ってるのが豚肉だと何故分かった? イスラム教徒の客、マクドナルドで朝マックを注文 豚肉が入ってることに気づき吐き出す⇒ 店員に大激怒して謝罪と補償要求 https://t.co/JMEh0yy8Jm お客… https://t.co/W2IRe51FPe"
うまいことを言いたくなる欲があるのはしかたないとしても、もう少し作品に対する愛情があってもいいのではないか。
*2:ちなみに私個人としては、「漫画のタイトルすら聞きおぼえがなく、私個人はどの立場からも確信をもって主張しがたい」「考えるようにうながすことは、それ自体がひとつの自由であるべき言論だ」「日赤側は批判に対して反論することも、批判を受けいれつつ表現をとりさげないことも、あえていえば批判を黙殺することもできる」というくらいの立場を最初に表明した。 hokke-ookami.hatenablog.com