人気歌手のライブで実際に歌っているのは、裏に隠れた肥満体のカンナだった。その外見が表で活躍する歌手に嘲笑され、感謝していたプロデューサーにも利用されていただけと知り、カンナは自殺をはかる。しかし死の淵からはいあがったカンナは、全身整形して美女となり、正体を隠してプロデューサーに近づいていく……
日本の同名漫画を原作とした、2006年の韓国映画。コメディタッチな芸能ドラマとして、劇中のパフォーマンスも手を抜くことなく映像化した。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2008/05/08
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やや色彩設計はキッチュだが、シネマスコープを使うだけの情景を、ちゃんとセットでもロケでも成立させている。
劇中のライブパフォーマンスは実際に人気を集められそうなクオリティはある。満員の観客席も充分なエキストラを集めていて、カメラワークに空席を映さまいとする不自然さがない。
美女となってテンションが上がったカンナが起こすトラブルでも、わざわざ車がいきかう街中で追突事故させるほど手間をかける*1。免許証写真を見せる意味があるとはいえ、本筋に無関係なギャグなのに、わざわざ自動車を壊すなんて韓国映画かよ!
……いや韓国映画ではあるけど。
物語などは、以前に原作を読んだ記憶と大きく異なっていた。実際、再読すると芸能界が舞台という設定からして映画で改変されたものだし、外見を変えて承認を求めていくカンナのキャラクターも全く違う*2。
映画のメインテーマとなるのは美醜そのものではなく、女性は社会において利用される側でしかないという問題意識。整形によって美を獲得する前からカンナは歌唱力をさしださなければならなかったし、敵対する歌手も外見やダンステクニックをさしだしていた。
そうして美女も醜女も芸能のために利用するプロデューサーの、どこか善悪を超越したストイックな性格も、映画独自の面白味だ。意外なことに、女性同士の対立や自己承認のドラマだけでなく、芸能プロジェクトを成功させようとする男性のドラマとしても楽しめる。
プロデューサーは上層部に覚悟を示すため、奪ったガラスコップを叩き砕いてみせる*3。なんで韓国映画みたいな流血描写を!
……いや韓国映画ではあるけどさ。