愛崎えみるとルールー・アムールは順調にツインラブとしての芸能活動をつづけていた。しかし低評価を耳にして愛崎が落ちこむ。
そんなツインラブに、若宮アンリを取材する仕事が来る。なんとか再起するツインラブだったが、若宮の隠していた悩みとシンクロして……
若宮と愛崎、それぞれが未来と現状の自己を肯定できない恐れを語りあう。それを惑わす敵幹部の理屈は、敵なりの本心と思わせる真摯な口調だ。
ふたりを悩ませるジェンダーバイアスを、シスターフッドやブラザーフッドで越えようとする。その関係性そのものが、ジェンダーバイアスを超える。
……危うさがありつつ踏みこんだ内容に、いかにも坪田文シリーズ構成の脚本らしいと感じたし、事実そうだった。
愛崎と若宮の復活はアドリブの歌に乗せた華々しいショーとして演出しつつ、若宮への勧誘が尾を引いたりと後味が悪く、課題の解決しきれてなさが苦い。
しかし野乃と薬師寺*1がツインラブの代理で芸能活動するようなサービスもあり、重いだけではない娯楽としてよくできている。
今作には初参加の鎌谷悠の演出は、キャラクターを真横か真正面から映すコンテがおもしろい。それもロングショットで背景を映して、孤立した小さな人物と、観客席や地平線の無機的な直線を印象づける。
そのコンテがショーではクローズアップを見せ場につかい、煽った画面を使って画面を躍動させる。そして結末で再び若宮を真横から映し、影のなかに位置づける。物語をきちんと絵に落としこんでいて、その徹底ぶりが今回の個性となっている。
